zen-noh-ren’s diary

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欧米自動車メーカー・アフターセールス事業改善から見た海外でのコンサルティングの将来:発表会レポート(前編)

去る2015年8月18日、全能連研究交流会にて、正木公一氏(日本能率協会欧州エージェンシーブラッセル責任者兼日本能率協会コンサルティング欧州法人副社長)の発表が行われました。

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発表は前後編に分かれ、前編は「自動車メーカー・アフターセールス部門での海外コンサルティングの現状」、後編は「成長・注目すべき市場、アジアについて」というテーマで講演が行われました。

約30名ほどの会員が参加する中、主にヨーロッパ自動車メーカーに向けてのコンサル事例などを踏まえた分析データを解説し、海外コンサルティングの未来を予想していきました。

 

【前編】主力自動車メーカー・アフターセールス部門でのコンサルティングの現状

 

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(1) 同、コンサルティング領域

このテーマでは、ディーラーの各ビジネスと主なコンサルティング課題を詳細に解説した。

(2)アフターセールス分野で特に注目されている領域

車両リピートセールス決定要因の分析やディーラー全体での各ビジネスの利益貢献課題を、データを見ながら解説を行った。データ自体はヨーロッパでの実績のみだが、正木氏は「状況は日本とはあまり変わらないのではないか」との見解を示した。

(2)発表内で注目されたのは、「アフターセールスコンサルティングの課題とメーカーの期待」。今後の課題としてクライアントから求められているのは、セールステクニックなどによる「サービス売り上げアップ」、失った顧客の取り戻しを含む「顧客維持」、そしてメカニックの「作業効率」の3点。

それぞれのオペレーションと業績を「見える化」し、モニタリング及び管理を容易にすることが必要となる。そして、メーカーからはさらなる改善アクションを立案することが期待されている。

(3)自動車メーカーへの支援形態

(3)では、2012年度のプロジェクト実施地域、それぞれの進捗と規模、コンサルティングプログラム構成の実例などの解説を踏まえ、以下の「6つの角度から見た現状分析」を解説。

・ サービス来店客、満足度分析

・ ディーラー社員満足度分析

・ ディーラーアフターセールス現場観察

・ チェックシートによるディーラー業務プロセス、マネージメントの現状評価

・ サービスメカニック作業のワークサンプリング

・ KPIによるアフターセールスビジネスパフォーマンス分析

これらをまとめ、(4)の「今後の動向」につなげていった。

(4)今後の動向

(1)〜(3)までの分析をもとに、今後の動向を検証した。正木氏曰く「欧州自動車事情はすでに成熟しているが、ブランドにより3つのニーズに分かれる」とのこと。

ひとつは市場参入したばかりのブランドが求める「よりベーシックなプログラム」、2つめは、ある程度知られたブランドが求める「よりアドヴァンスなプログラム」、そして3つめは、フォードやシトロエンなどの老舗ブランドが求める「より革新的なプログラム」である。

新参から中規模ブランド、そして長く市場で親しまれているブランドと、それぞれに差別化された販売戦略に対応したコンサルティング・マネージメントが求められていくと語り、さらにそれそれのプログラムニーズを詳しく紹介していった。

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(後編へ続く)

 

正木公一:日白協会兼商工会議所、理事会役員、文化コミッティー会長。日本能率協会、欧州エージェンシー、ブラッセル責任者。日本能率協会コンサルティング、欧州法人副社長。