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zen-noh-ren’s diary

マネジメント業界とプロフェッショナル人材に向け、情報を発信していきます。

【インタビュー】梅島みよ氏が語る「人材マネジメントの未来」<後編>

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日本の人材育成・人材戦略のプロフェッショナルの草分けとして、述べ100万人以上の育成を支援してきたMSC株式会社マネジメントサービスセンター)顧問・梅島みよ氏のインタビュー後編です。

前編「米軍キャンプ時代の上司が自分のロールモデル」は>>こちら

(取材・構成:全日本能率連盟 編集部)

今後、求められるコンサルタントとは

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——ビジネスコンサルタントの役割ですが、「なにはなくとも生産性向上」が命題だった時代から比べると、社員の育成に注力している会社も多くなってきたように思います。

 

梅島:そうかもしれません。コンサルタント技術にも時代の変化がありますね。ビジネス教育として私が初めて担当したのは、米軍で従事したMTP(マネジメント・トレーニング・プログラム)でした。当時は立川基地にいた米空軍の将校たちが、日本のマネージャーに民主的なマネジメントを教えるにはどうしたらいいかを研究し、さらに日本の名だたる企業の社長や大学の社会学部の先生などと一緒に作り上げたのがMTPプログラムです。

 

——名前は「MTP」と英語で呼んでいますが、実は日本国内でしか流通していないのですね。

 

梅島:そうです。その後、様々なトレーニングプログラムが米国から導入されました。当時は講義中心の進め方でした。ところが、昭和40年代半ば頃から、アメリカでは心理学がベースになった、プログラムも開発され、グループディスカッションやロールプレイングなどが入ってきました。

 

——そうなると、今度はいかに受講生に喋ってもらうか、というテクニックが必要になりますね。

 

梅島:まさに、いかに喋らせるか、いかに聞き出すかという。質問と相手の答えを広げていくテクニックが必要です。例えば、英語を日本語に翻訳して活用する際には、言葉の意味だけではなく文脈、状況、そして2つの国の文化と成り立ちを理解しなければ、良い翻訳にはなりません。
コンサルタントも同じこと。相手の会社や個人を理解しようと努めなければならないように思います。グローバル化が進む現在、今まで以上にさまざまな文化を持つ社員が増えていくことでしょう。MSCの社員も含めて、今後の人材育成の課題は大きいです。

 

——まだまだ、「流暢にプレゼンする」ということに重きを置いているコンサルタントも多いですね。全能連には、「マネジメント・インストラクター」という資格の認定制度があります。

www.zen-noh-ren.or.jp

インストラクターがいい仕事をするためには、たえず自分でトレーニングをしていいものを提供していくという心構えが必要になります。認定制度がそのきっかけになってくれればいいと思っています。

 

梅島:私は昔、全能連から、なにか(資格を)いただいたような記憶があります。

 

——名誉MCになっていただいています(笑)。

 

梅島:ですよね(笑)。

 

——今、新人研修は社内で行う、という企業も多くなっています。一方で、アセスメントのような多様なノウハウが必要なものに関しては、MSCさんをはじめとするコンサルタントカンパニーに入ってもらう、などの使い分けをしていただけるといいですよね。

 

梅島:社内研修は、今後も増えていくでしょうね。私は、弊社も含めて教育訓練や人事育成を扱う分野の会社が今はひとつの変革の段階にあると思います。
以前は、長い間人事部が会社の人員の大部分の動向を掴んでいたように思いますが、採用は各部門でそれぞれ行うようになりました。そのため、かえって総務部が全体を把握しなければならなくなりました。では総務がどうあるべきなのか、それも明確にしなければいけないようです。総務はいちばん最初に外部から電話がくるところ、と考えれば、総務に優秀な人材を採用し、会社全体を掌握しなければ困ることになります。
企業は売り上げと業績アップを目指して営業は駆け回っています。今、MSCのような会社でも、そういう点に着目していかなればいけないと思います。

 

——これからの人材育成がどうなっていくのかを考えるにあたり、先生の講演を聞きたい、と考えている若い方もたくさんいると思いますが。

 

梅島:92歳のおばあさんの話しかできないですけどね(笑)。いちばん難しいのは、いま現場に出ているMSCの講師は40〜50代でしょう。そして研修の相手は20〜30代。今の時代、20年の違いは相当なものです。自分の世代と相手の世代、両方を理解しないことには相手を読むことはできません。相手を知らずしてどうしてアセスメントできるでしょうか。

 

——先ほどの翻訳の話と同じですね。相手の文化や成り立ちを理解すること。それは、昨今のグローバル化ダイバーシティ構想にもつながっていきますね。

 

自分が何者なのかを、しっかり見定めなければいけない

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——最後に、これからの業界を担う若きコンサルタントに向けて、なにかメッセージをいただけますか?

 

梅島:私にできることといえば、細かいテクニックは今までの長くて古いキャリアの分はあります。講演でも講義でも相手が20人の時の話し方、100人の時の話し方、1000人以上の時の話し方。それぞれに異なる、伝わり方が違います。
しかし、それよりも大事なのは「人にものを伝える」仕事は、まず最初に「自分が何者なのかをしっかり見定めなければいけない」ということでしょう。そういっても、自分の短所だけを見なくてもいいんです。自分の長所を理解して、思いきり自分を認めてあげること。それを世間がなんと言おうが、自分の長所を自分で否定しないこと。
たとえば「資料作りが上手い」人に対して、「あいつは資料だけだ」なんていう人もいるでしょう。しかし、それが長所なら自分で否定することはありません。あなたが持つ長所を、健全に伸ばしていけばいいんです。それが、自分の足で立つ力になります。
私が3歳の子どもがいるのに働きに出た時、近所の人からは「ご主人は働いてるのになぜ働かなくちゃいけないの?」「子どもが小さいのにかわいそう」といろいろ言われましたが、母は「近所の人の言う通りにしたところで、その人は褒めてくれない。人の言う事を気にすることはない。自分のやりたいことをやりなさい。それが正しいことならば」と言って背中を押してくれました。そのおかげで、私は生涯続けられる仕事に出会いました。
神様が作ってくれた「自分」という人間を活かし、素直に生きていけば、道は必ず開けるものと思います。

 

<了> 

(2016年6月3日、株式会社マネジメントサービスセンターにて) 

 

プロフィール

梅島みよ 氏

1944年津田英学塾卒業。在日米軍人事部(訓練部)での管理者訓練トレーナーなどを経て、1966年マネジメントサービスセンター設立。同社代表取締役社長、取締役会長などを経て、現職。日本における経営コンサルタントのパイオニアとして知られる。

www.msc-net.co.jp

著書に『頭がいい人をおやめなさい』(日本経済新聞出版社)、『日本の課長の能力』(日本経済新聞出版社)『課長の品格』(幻冬舎メディアコンサルティング)、ほか多数。

 

日本の課長の能力 (日経プレミアシリーズ)

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課長の品格―信頼と尊敬を得るための31の方法

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頭がいい人をおやめなさい

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