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zen-noh-ren’s diary

マネジメント業界とプロフェッショナル人材に向け、情報を発信していきます。

経営・技術大会詳細(1)「成長政策を基に〜2020年以降の日本経済を考える」

講演会

去る平成27年10月20日、全日本能率連盟主催、経済産業省後援の第67回全国能率大会 経営・技術大会が東京・市ヶ谷にて行われました。

講演は、「どうなる、どうするこれからの日本」をテーマに、以下の内容で行われました。
独立行政法人経済産業研究所 理事長の中島厚志氏による基調講演「成長政策を基に〜2020年以降の日本経済を考える」

NPO法人スポーツネットワークジャパン及び日本スポーツ学会代表理事 長田渚左氏による「アスリートたちのマネジメント〜2020年東京オリンピックパラリンピックに向けて」

まずは中島厚志氏より基調講演が行われました。

中島氏は、女性活用やTPPによる経済の活性化について研究されており、その研究成果はアベノミクスの政策にも盛り込まれています。これから2020年に向け、日本の経済が大きく動く中で、その動きをどう見るべきか、どのように解釈していくべきかをお話しいただきました。

講演内容要旨は以下の通りです。

■基調講演「成長政策を基に〜2020年以降の日本経済を考える」

1. 日本経済の現状

2008年のリーマンショック以降の日本経済の低迷と変動は、景気後退なしの米国、景気後退1回のみのユーロ圏経済と比べても大きく、回復していない。外需依存による経済成長などが背景にあり、為替変動の平準化や内外需バランスが取れた経済成長などが不可欠となる。そもそも、日本は世界最速で少子高齢化が進んでいる国であり、生産性向上と労働力維持も最も必要な国となっている。

2.経済活性化の考え方

アベノミクスは、十分に活用できていないヒト、モノ、カネを活用し、経済活性化を図る政策である。ただし、政策だけで経済は活性化せず、実現には企業活力の増進、回復が欠かせない。
特に、日本企業は米独企業と比較すると資金余剰幅の大きさが目立つ。つまり、収入を企業が溜め込んでいる図式である。国際的に見てもこうした日本企業の縮み志向は顕著であり、賃金増や雇用増にもっと支出するなど、企業活動の活発化が大きな課題となる。

・幸い、日本企業にとって今が投資のチャンスとなっている。日本のものづくりは世界でも高水準と言われるが、「ものを作っているだけ」では世界での競争に負けてしまう。国際競争はますます厳しくなっており、非製造業・製造業を問わず、研究開発やアフターサービスなど、ITや知財といったソフト面の活用を一層充実させ、競争力を向上させる局面にある。

・また、日本企業のグローバル化も遅れており、特に中小企業の一層の海外進出が企業と経済を活性化させる。

・とりわけ、TPPは日本経済を活性化させる大きな材料となる。TPPの恩恵は、企業活動だけではなく、消費者にも大きい。そして、経済効果は非関税障壁まで撤廃し、国内市場への外資系企業参入増や規制緩和を図ることで一段と拡大する。

・しかも、グローバル化イノベーションを進める上でもプラスになる。世界と競合している方がイノベーションは起きやすい。また、外資系企業の国内進出も実は日本企業にプラスとなる。実際、日本企業は同一産業の外資系企業からプラスの波及効果を受けており、長期的には生産性向上の可能性がある。

・ところで、オリンピックは経済活性化の好機ながら、過去の例を参考とする限り、経済効果はやや限定的である。それよりも、オリンピック年を目標として国民の姿勢や意識を前向きにする効果を重視するべきである。成長戦略では、2020年の東京オリンピック開催を好機と捉え、東京に限らず日本全体の活性化を目標に2020年に向けて改革を加速し、本格的成長軌道への回復を実現する構えとなっている。

・ヒトについて申し上げると、日本はOECD諸国の中で、女性の活用が最も進んでいない国のひとつである。女性を筆頭とした多様な人材の活躍は、企業活力増進と経済活性化に直結している。少子高齢化で人手不足が広がる中、企業が真剣に省力化と女性・高齢者・外国人人材の活用を図ることがその競争力を高めることになる。

3. 安心につながる社会保障

日本の社会保障支出では高齢者のウェイトが大きくなっているが、少子化対策に見られるように現役世代への社会保障も一段の充実を必要としている。代表的な福祉国家であるスウェーデンは、良好な経済成長を企業競争で実現し、企業収益を中心とした大きな所得移転で充実した社会保障を実現している。財政赤字が大きい日本では、なかなか所得移転の財源確保ができず、格差が大きいアメリカ型になっているが、スウェーデンのようなやり方も検討に値する。

 

●まとめ

 アベノミクスの政策で経済活性化の効果が高いのは、研究開発、人材育成と競争であり、2020年オリンピック以降にも良好な経済成長を遂げるためには、一層の人材活用と教育高度化、TPPも活用したグローバル化推進、積極的な企業活動とイノベーション加速などにかかっている。今後、国内市場がますます縮小し長期の停滞に入ることが予想される今、経済・企業の飛躍につながるイノベーションを起こすためにも、投資と人材活用を積極的に図る企業経営が期待される。

 

講演者:独立行政法人経済産業研究所理事長/中島厚志氏

経済産業研究所RIETI):経済政策に関連する研究を幅広く行っている、国際的にも知名度の高いシンクタンク。 

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