zen-noh-ren’s diary

マネジメント業界とプロフェッショナル人材に向け、情報を発信していきます。

公益社団法人 全日本能率連盟 認定資格のご案内

当連盟のホームページ、またこちらの全能連ニュースにお立ち寄りいただきありがとうございます。ホームページ内でもご紹介しておりますが、こちらの方も合わせてご覧頂ければ幸いです。

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認定制度

 

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当連盟の認定する資格として、マネジメント・コンサルタントとマネジメント・インストラクターの2つがあります。

それぞれ資格取得までのステップは以下のようになります。

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審査や研修など、複数回行われることがご覧いただけるかと思います。

決して容易ではない認定までの道のり

ここまでご覧いただいただけで、「なんだか大変そう」とお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、”コンサルタント”や”インストラクター”は、そもそも資格を必要としない職業であるために、実質経営上の種々の課題をお持ちの潜在的クライアントからすると、いったいどういう方に課題解決を依頼して良いのかわからない、わからないから社外に課題解決を依頼しない、と言われる方が多いのも事実ですそういった方々への、一つの目安として、当連盟の認定する資格保持者は、他のコンサルタントやインストラクターとは一線を画す方々であるという証明のため、この資格認定制度を長期に渡って維持発展させてきております。従って、審査のステップも複数あり、かつ申請締切から認定されるまでの間におよそ5か月を要しております。

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より具体的には、

まずコンサルタント・インストラクターとしての業務経歴をそれぞれ5年以上、3年以上必要とします。これだけでも既に長い実績と、実績を得られるまでのクライアント様からの高い信頼がなければ申請要件を満たさないものであることがお分かりいただけるかと思います。

その次に、論文や面接、インストラクターの方には実際インストラクターとしての実技を行っていただきます。面接官はベテランのコンサルタントであったり、現役の研修インストラクターの先生方です。審査でふるいにかけるというよりも、プロフェッショナルな先輩としての視点で、質問や会話を通じて申請者の人となりを見ている、そういう部分が大きいと感じられる審査です。

 

加えて、申請者の書類は審査委員会、その上位の審査会などこれも複数のパーティーによって審査され、マネジメント・コンサルタント申請者にはさらに集合研修を経て、ようやく資格認定の運びとなります。

 

三者認定の意味

コンサルティングファームで働いているから、クライアント様からこれまでも信頼を得ているから-。もちろんそういった事実は重要です。しかしながらさらに多くのクライアント様の依頼を受けるために、第三者による、厳密な審査体制による資格取得、ここに意味があります。そしてそのような質の高い認定者を輩出することで、私どもの公益社団としての存在意義があると考えています。

認定されました資格を証するにあたって、いくつかの方法もご提供しております。

厳密な審査を経て獲得された資格を大いにご活用の上、認定されました皆様にはご活躍いただきたいと思っております。

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ここまでお読みいただきましてありがとうございました。また資料のご要望を受付いたしておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

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2018年3月 公益社団法人 全日本能率連盟 事務局

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公益社団法人 全日本能率連盟 70周年に向けて

 

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 私共 全日本能率連盟は1949年に設立、翌年社団法人としての許可を受け、2013年には公益社団法人へと移行、現在に至っております。

 

 そしていよいよ2019年には70周年を迎えるにあたり、国内のみならず広く海外を含めたマネジメント・コンサルティング業界とのつながりを深めるため、私共の加入しております国際組織、ICMCI (The International Council of Management Consulting Institutes)のアジア・パシフック大会の日本開催を誘致し、承認されましたため、来年の開催に向け着々と準備を進めているところです。

 

 会員・認定者の皆様には今後ご案内してまいりますが、今現在会員、または全能連認定資格保持者ではない方々でも、ご興味のある方は是非全能連の認定資格であります、

マネジメント・コンサルタント、及びマネジメント・インストラクターの取得をご検討ください。例年10月末頃までにご申請いただき、審査を経て翌年4月に資格認定されるというサイクルになります。マネジメント・コンサルタントとその上位資格であるマスター・マネジメント・コンサルタント、及びマネジメント・インストラクターの上位資格であるエキスパート・マネジメント・インストラクターに方々には、資格認定時に同時に国際資格であるCMC (Certified Management Consultant) 資格も付与され、認定証が発行されます。これから資格取得される方々も、上述のアジア・パシフィック大会にご参加いただくことで、世界のCMCとの交流を深め、今後の皆様の活動に役立てて頂けることと思います。

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2017年5月 ICMCIアジア・パシフィック大会(シンガポール)の様子

 

 私共の活動を、70年の長きに渡り支えていただきました会員の皆様、認定者の皆様に感謝申し上げますとともに、これから資格認定をお考えの皆様にも役立つ情報提供、会員交流の場のご提供を図ってまりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

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                      公益社団法人 全日本能率連盟

 

 

 

 

10月30日 全能連 研究交流会を開催いたしました

2017年10月30日 13:30より全能連 研究交流会を一般社団法人中部産業連盟 東京本部(千代田区)にて開催いたしました。今回のテーマは「2017 ICMCI総会報告」。

全能連が所属し、MC並びにEMIの方々が認定資格をお持ちのCMCを認定する、国際団体であります、ICMCI(International Council of Management Consulting Institutes)の今年度総会の模様を、一般社団法人 中部産業連盟 常勤理事で主幹コンサルタント

福山先生よりお話しいただきました。

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参加された皆様からは、

「国際組織の活動やその中における日本の立ち位置など知る機会になってよかった」

「海外の動きを知る機会が少ないので、参考になった」

といったご意見もいただきました。

 

さらに、今回の総会では福山先生ご自身が総会における『カイゼン部会』の共同部会長を務められ、加えて福山先生ご自身のカイゼンプロジェクトが、今回の世界総会で17件のエントリー中最高のゴールドメダルを受賞されたという重みのある解説に、出席者の方から、日本と海外ではこれほど考え方が違うのか、と感嘆のご感想もいただきました。

 

最後は参加者の少人数グループワークを行っていただき、認定者の方々の交流も図っていただきました。テーマは今回の研究交流会にちなみ、日本から世界に向けての発信、に関する題材で、グループごとに話し合っていただいた後簡単にご発表いただきました。

 

全能連では、このような皆様に有用な情報共有や会員・認定者の皆様の相互交流を図る機会をご提供していきたいと考えております。今回ご参加いただきました皆様に感謝いたしますとともに、残念ながらご参加いただけなかった皆様も是非次回のご参加をお待ちしております。

 

平成29年度 全能連 顕彰式が行われました

全国能率大会 経営・技術大会が行われた同日、9月27日に全能連 顕彰式が執り行われました。

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顕彰式とは、「全能連」の会員団体に所属または勤務される方々の中から、業務に精励し、その著しい功績により会員団体の代表者より推薦があった方々を表彰するもので、長年にわたり、経営管理理論ならびに、技術の研究、指導、普及等に尽力し、経営の科学化推進に功績の大きい方に授与される【顕彰牌】と、長年にわたり会員団体の業務に従事精励して、団体の発展に貢献し功績の大きな方に授与される【表彰牌】の2種があります。今年度は、顕彰牌を授与された方31名、表彰牌を授与された方7名に加えて、マスターマネジメント・コンサルタント名誉称号授与者1名が受賞されました。

以下、受賞された中から、5名の方々にインタビューさせていただきましたので掲載させていただきます:

 

松川 昌義氏(マスターマネジメント・コンサルタント名誉称号受賞)

公益財団法人日本生産性本部 特別顧問

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「この度は、このような称号をいただき大変光栄です。私は、全能連のMC認定制度を立ち上げる時にコミットさせていただきました。当時はきちんとルール化した認定制度がなく、日本のマネジメント・コンサルタントの評価基準が明確ではありませんでした。その点において、このような仕組みが作られ、それが定着したことは大変喜ばしいことです。

働き方改革や人材育成・活用が重要課題となっている昨今、今後はマネジメント・コンサルタント/マネジメント・インストラクターの皆様の役割はますます大きなものとなるのでしょう。これからの日本の企業を変えていってもらいたいと、大いに期待しております。また、その下支えをするのは全能連、そしてMC資格認定です。マネジメント・コンサルタントのプロフェッショナルが集まる場として、全能連のご発展を祈念しております」

 

今江 恵子氏(顕彰牌受賞)

株式会社マネジメントサービスセンター チーフコンサルタント

岸本 ひとみ氏(顕彰牌受賞)

株式会社マネジメントサービスセンター チーフコンサルタント

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岸本氏「このような賞をいただけるとは、本当に寝耳に水で驚きました。コンサルタント業を始めて約30年ほど経ちますが、続けていて良かった。本当に感謝をしています。

私たち2人は、マネジメント・インストラクター認定、さらに段階を踏まれた方のためのEMI認定の審査に携わらせていただいています。このようにステップアップの目標があるのはとても素晴らしいと思います。EMIの皆さんは大変な実力者がそろっていますから、この資格を持つことがコンサルティングの武器になるよう、広めていってほしいと思います。また、そのような資格に関わることができて、さらに賞までいただいて、心から感謝をしています。資格・認定制度がさらに広がるよう、私どももますます業務に励んでいきたいと思います」

 

今江氏「岸本さんの言うように、資格認定制度に関わっているので、全能連さんにはとても親近感を持っています。このような賞をいただけるとは思ってもみませんでしたが、大変光栄です。マネジメント・コンサルタント/マネジメント・インストラクターの皆さんの目標になるべく、気を引き締めていきたいと思います。

この受賞を今後の活動に活かせるかどうかは自分次第ですね。これからますます機械化が進み、統計をとったり市場調査をしたりなど、データ上でのやりとりはAIの方が正確だ、という時代はすぐそこに来ている気がします。人間しかできないこと、そして自分にしかできないことは何か、常に考えながら、もっと深めていきたいと思っています」

 

郡 要二氏(顕彰牌受賞)

一般社団法人日本能率協会 審査・検証センター CS・マーケティング部 エキスパート

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「この度は誠にありがとうございます。今の自分があるのも先人の方々のおかげですから、大変感謝をしております。自分が携わってきたのは未開拓の分野だったので、相当いろいろなことにチャレンジさせていただきました。周囲の方々にはご迷惑しかかけていない、と思っているくらいです(笑)。そんな今までの活動を認めていただいたのかと思うと、この受賞は本当に感慨深いです。選考の皆様と、今まで支えてくれた周囲の皆様に感謝いたします。

これからも、あまり前例にとらわれずに常に新しい発想で課題に向かい合うことを大事にしたいと思います。クライアントの課題解決のためにどんなことができるかと、常に頭をフル回転させながらチャレンジを忘れないようにしたいと思っています。この度は本当にありがとうございました」

 

石山 真実氏(顕彰牌受賞)

株式会社日本能率協会コンサルティング シニア・コンサルタント

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(石山様-左からお二人目)

「顕彰牌授与、誠にありがとうございます。私は新卒の頃から工場の業務改善コンサルティングに携わり、早30年近くになります。ずいぶん長い時間が経ちましたが、まだまだやるべきことはたくさんありますし、仕事は大変面白く充実しています。そんな働き振りが評価されたのだとしたらとても嬉しいことですね。

近年のAI化の流れを受けて、工場はどんどん自動化しています。しかし、基本的なベースは変わりません。これからのコンサルタントに向けて言うとしたら、昔からの改善ニーズは変わらないということ。どんどん新しいツールが出てきていますが、あくまでもツールはツール。『ツールの導入』が目的にならないようにすることをいつも意識しているべきだと思います。いつも基本に立ち戻る。自分もそれを意識しながら、お客様と向かい合っていきたいと思っています。この度はありがとうございました。今後の全能連さんのご発展をお祈りしております」

 

諸藤 寛人氏(表彰牌受賞)

一般社団法人日本マネジメント団体連合会 幹事、中小企業部会長

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「このような賞をいただき誠に光栄です。まさか自分が受賞するとは全く思っていませんでしたので、大変驚きました。ありがとうございました。

私は今、行政書士として活動しています。この業界に入り15年ほど。先輩たちから見るとまだまだ若輩者ですが、それでも時代とともに顧客の悩みは変化していると思います。例えば、私が多く関わらせていただいている飲食業では、いわゆる”インスタ映え”や”SNS映え”を重視しなければならず、広告費をかければなんとかなる時代ではなくなりました。そういった業界ごとの流行や状況は日々変わっていますので、毎日勉強しながら常に自分をブラッシュアップし、お客様のニーズに応えることのできる、お役に立てる仕事をしていきたいと思います。この度は誠にありがとうございました」

 

あらためまして、受賞者の皆様、おめでとうございます。これからもマネジメント業界でのご活躍を祈念いたしております。

第69回全国能率大会 経営・技術大会を開催いたしました 

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2017年9月27日(水)、今年で69回目となる全国能率大会 経営技術大会を開催いたしました。今回「変わる、変える、働き方」と題し、基調講演には元 富士通株式会社取締役副会長の伊東千秋先生をお迎えし、「AI(人工知能)と働き方改革」のテーマでお話しいただきました。既にこの言葉を聞かぬ日はないほどの「働き方改革」関連の講演の中で、よりわかりやすく、かつご自身の米国駐在経験に基づく数多くの示唆に、出席者は一様に感銘と刺激を受け、個々の職場へと持ち帰られました。

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続いて特別講演には日本大学法学部及び大学院法科研究科教授でおられる、稲葉陽二先生より、「企業不祥事はなぜ起きるのか~ソーシャル・キャピタルから読み解く組織風土」と題したご講演をいただきました。「企業風土」といった、本来人格のないものがあたかも人格を持つかのような表現によって、経営者自身の責任が曖昧となり、かつ企業内ネットワークをあるべき形でできない経営者の責任逃れともなっていることを、社会関係資本ソーシャル・キャピタル)の考え方を用いて読み解いていただき、不祥事を起こす企業の経営者の責任を強調されました。

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少子高齢化、AI、働き方改革といったこれからもますます重要なキーワードとなっていく概念に対し、出席されたコンサルタントの方、会員企業の方それぞれが思索を深める一助となれば幸いです。ご出席いただいた方々、ご講演頂きました先生方、ありがとうございました。

 

 全能連では、これからも大会・研究交流会などを通して資格認定者の方や会員企業の方のお役にたてればと考えております。これからもどうぞ積極的にご参加いただけますよう、どうぞよろしくお願い致します。

 

全能連 研究交流会開催のお知らせ【2017年10月30日(月)東京会場】

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2017年10月30日(月)13:30-16:00にて、全能連 研究交流会を開催いたします。

今回は、全能連が所属しております国際コンサルティング評議会総会の模様を中心に、一般社団法人 中部産業連盟の常勤理事 福山 穣先生よりお話しいただきます。

 

本会へのご参加は認定者の更新・昇格申請のCDP実績の一つとなります。皆様の積極的なご参加をお願い致します。

お申込みは全能連宛にFAX、又はメール(taikai@zen-noh-ren.or.jp)にてお申し込みください。

 

また、11月21日(火)には大阪会場での研究交流会を予定しております。近日中にご案内致しますのでそちらでのご参加も合わせてご検討願います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

活躍するMIー株式会社キャリ・ソフィア代表取締役 木山美佳さん

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今回ご登場いただくのは木山美佳さん。エキスパート・マネジメント・インストラクター(EMI)資格を取得されている一方で、株式会社キャリ・ソフィアの代表取締役、研修講師、また全能連としては昨年に続いて今年7月のMC/MI大会での講演講師や資格認定の面接審査員もお願いした、まさにマルチプレーヤーとしてご活躍中の木山さんに、お話を伺いました。

 

講演/「働き方改革」実現のための 〜多様な人材を活かすポジティブ組織へのアプローチ〜

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講演では、ダイバーシティ時代のキャリア形成、21世紀の心理学の潮流などを通し、ポジティブ組織作りの必要性についてお話されました。中でも傍聴者の興味を引いたのは「レジリエンス(Resilience)」と呼ばれる心理学の概念です。

 

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レジリエンスとは?】

一般に「弾力、回復力」と訳される語。近年は「状況に対して、私たちが反応する仕方をコントロールし、挑戦(課題)や逆境から立ち直る能力」という心理学的な意味で使われているケースが増えている。

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木山氏の講演では、レジリエンスのトレーニングを応用し、職場におけるレジリエンスを人材育成に使おう、というお話がありました。

レジリエンスを学ぶことのメリットとしては

抑うつの予防として効果的

・希望に満ち、楽観的で生産的な態度を開発する

・大人になっても学習可能。学ぶのに遅すぎることも早すぎることもない

とされ、レジリエンスの低い例として「待ち合わせに相手が現れない不安からキレて周囲に当り散らす男性」の動画や分析ツールとして「心の中の犬を見つける」メソッドなどを紹介。「心の中の犬」では、自分の心の中で、批判犬・正義犬・負け犬・謝り犬・諦め犬・心配犬・無関心犬のどれが吠えているのかを考え、吠えられた後の感情に気づくこと、解決のサイクルに変えること、さらには自律型人材育成のためのフロー理論の紹介で締められました。

 

そして講演の後、レジリエンスをどう使って職場をよりポジティブにしていくか、その方法や効果などを伺いました。

 

インタビュー/レジリエンスを通して伝えたいこと

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ーー木山さんがレジリエンスを学ばれたきっかけを教えてください

 

木山氏(以下、木山):もともと、この概念はメンタルヘルス領域で注目されていて、人材系の研修に取り入れている企業はすでにありました。なので、言葉は知っていたのです。ある時ハードな仕事があり、もうダメだ…と折れそうになった時にレジリエンスの本を読んで目が覚めたように感じました。これから働いていく中で知っておくと非常に役にたつ理論だと思い、そこから勉強を始めたのです。

 

ーー実際の研修に取り入れることは多いですか?

 

木山:そうですね。私は研修をパッケージにはしていないので、研修先の問題点をヒアリングして研修内容を設計していくのですが、最近はキャリアデザイン+レジリエンスの研修が多くなってきていますし、とても好評です。

講演の中でもお話しましたが、ポジティブ組織へのアプローチは、ポジティブ心理学を柱として、「アンガーマネジメント」もしくは「レジリエンス」をツールの一つとして取り入れています。アンガーマネジメントは「怒りのコントロール」、レジリエンスは「逆境を乗り越える力」です。キャリアデザインはするものの、実際には考えた通りにはいかないことが多いものです。仕事をしていく中では予想もしていなかったトラブルもあれば、いきなりの転勤もあり、キャリアの8割が予期せぬ偶然の出来事で決定されるといわれていて、最初のデザイン とは違うものになってしまう。そんなふうに壁にぶち当たったとき、困難や逆境を乗り越えて立て直す力はどんな世代でも必要なのではないでしょうか。

 

ーー木山さんは、ご自身も自分のキャリアに悩まれた時期があったとか。

 

木山:はい。いわゆるバリバリのキャリアウーマンだった時に妊娠・出産を経験しました。それまでは長時間労働も厭わず仕事にあけくれていたのに、出産後に1年半のブランクを経て、会社へ戻ったら今までできていたはずの仕事ができなくなっていていたのです。それでも子どもは保育園に迎えに行かなければいけない。バタバタと焦って子どもを迎えに行くと、お迎えが最後になった自分の子どもが悲しそうにこっちを見ている。子どもはずっと欲しくてやっと恵まれたので、大切に育てたいと思っていたのに。仕事は大好きだから完璧にこなしたいのに。そのどちらもできなくて、情けなくて涙が出ました。そうして自分を追い詰めて心が折れそうになっていた時、信頼していた先輩から「あなたは視野が狭くなっている、もっと先を見てごらん」と言われて、肩の力が抜けたのです。頭で考えていた「完璧」よりも、今できることを精一杯やっていこうと思いました。

 

ーーそれが、ポジティブ心理学を人材教育に取り入れるきっかけにもなったのでしょうか?

 

木山:そうですね。私は幸運なことにそうやって気づかせてくれた人がいたけれど、そこで潰れてしまう人もたくさんいるんじゃないかと気がつきました。

ポジティンブシンギングの例として、「半分だけ水が入ったコップがある。これを『もう半分しかない』と思うか、『まだ半分ある』と思うか」とよく言われますよね。以前の私には、これは「単に『物は考えよう』ってことじゃないか」とあまり心に響かなかったのです。実際問題としては何も変わらないと思っていました。確かに現実に差はないのです。テーブルの上にはコップに半分の水。しかし、ものの捉え方が変わると結果が変わるのです。

これを「もう半分しかない」と思う人は、いつまで経ってもコップに半分しかない状態。しかし「まだ半分ある」と思える人は、後々振り返った時にこの出来事の意味づけが変わります。例えば私の場合は、子育てと仕事が両立できず「コップに半分」の状態でした。「もう仕事なんてできないんじゃないか…」とそのままネガティブ思考でいたら、結局仕事は辞めていたと思います。そして子どもが大きくなって手が離れた時「あの出来事が乗り越えられなかったからだ」「仕事をしたいと思っていた時に続けていればよかった」と後悔していたと想像できます。

しかしそこでレジリエンスを発揮できたので「あの出来事があったから今の私がいる」と考えることができます。起こった事実は同じでも、ポジティブに捉えると振り返った時にそれがひとつの通過点として必要だったと意味づけができるのです。

 

ーーポジティブに考えるとその後の行動が変わるのは理解できますが、やはりネガティブ思考の人にはなかなか難しいものなのではないでしょうか。

 

木山:そうですね。でも、それは思考の癖でしかないのです。トレーニングによって、誰でも癖を変えることができます。レジリエンス研修はネガティブ感情のトレーニング方法です。感情のコントロールができるかできないかで、仕事や人生の楽しさが全く違ってきますよ。

講演では「犬に吠えられた後の感情に気づく」という項目があったのですが、その中で「粘着性のある思考と感情を思い出す」というワークがあります。失敗したことや怒られたことなど、嫌な出来事は時間が経ってもずーっと考えてしまいますよね。その粘着性の思考に気づいて、「また私はこのことを考えている」と距離を置くトレーニングをします。嫌な感情と一体化していることは絶対にプラスになりません。かえって物事を悪い方向へ仕向けてしまいがちです。

 

ーー木山さんが研修をされる中で、気になることはありますか?

 

木山: 私は、研修をする時はだいたい「いいところ」「改善点」「いいところ」とサンドイッチにして伝えているのですが、それでも受講後のレポートを読むと、特に若い世代の方で「このままではダメだと思いました」「性格を直したいと思いました」など、素直に反省しすぎてしまう傾向があります。その分、彼らは自分の長所を見つけることにすごく苦しんでいます。しかし逆境にぶち当たった時には自分の強みを知らなければ乗り越えられないと思うのです。なので、そういう方々にはレジリエンス研修は非常に有効だと思いました。自分の強みを理解して、心の資源にしておく必要がありますから。

 

「誰もが幸せに働ける職場づくり」を目指して

 

ーー現在、キャリアアップや女性活用などの研修を精力的にこなしていらっしゃいますが、今後の活動は?

 

木山:私の最終的な目標は、「誰もが幸せに働ける職場づくり」です。キャリア形成はひとつの大テーマではあるのですが、ポジティブ心理学レジリエンスはその中のパーツのひとつです。いろいろなパーツを取り入れながら、みんながもっと元気に、やりがいを持って働ける組織や社会の仕組み作りに関わりたいと思っています。幸いなことに、近年の少子化ダイバーシティ問題と絡めて、長い時間会社に残っているよりも効率よく働く方が評価される時代になってきました。仕事が苦役になる時代はもう終わるだろうと思います。「仕事は苦しくなくてはいけない」という時代から「楽しく仕事をしよう」「お互いにアイデアを出し合って新しいものを作ろう」という時代へと変わっていこうとしている今だからこそ、個人個人がそれぞれに誇りを持って仕事に向かい、楽しく人生を過ごしていけるように、全力でフォローをしていきたいと考えています。

 

ーーありがとうございました。これからの木山さんのご活躍を期待しています。

 

 

<プロフィール>

木山美佳 氏

大手人材会社でキャリアコンサルタント・研修講師を務める。その後、航空系研修会社にて研修講師を経て、株式会社キャリ・ソフィア 設立。代表取締役の傍ら、自身でキャリアデザイン、リーダー育成、女性社員育成上司力、ダイバーシティコーチングなどの研修を行っている。プライベートでは一児の母。

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