zen-noh-ren’s diary

マネジメント業界とプロフェッショナル人材に向け、情報を発信していきます。

第69回 全国能率大会 経営・技術大会開催のご案内

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第69回 全国能率大会 経営・技術大会を来る9月27日(水)13:30より開催いたします。今年度は「変わる、変える、働き方 ~パーソナルからソーシャルへ~」と題し、元富士通株式会社取締役副会長の伊東先生と日本大学法学部・大学院法科研究科教授の稲葉先生のお二人にご講演いただきます。

詳細は こちらのページをご参照頂き、ページ下方のお申し込みフォームより参加お申込みをお願い致します。皆様の活動にお役立ていただけることと存じますので、皆様はもちろんのこと、ご指導先をはじめ、お知り合いの方々にもご紹介いただき、お誘い合わせのうえ是非ご参加ください。

 

全能連 MC/MI大会を開催いたしました

 

7月21日金曜日 13:30より全能連 MC/MI大会を開催いたしました。

東京は最高気温34度に加え前日の雨により湿度も高く、まさに厳しい暑さにも関わらず、多数のご参加を頂き誠に有難うございました。

 

当日のプログラムは以下(敬称略):

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1.特別講演「『働き方改革』実現のための

  ~多様な人材を活かすポジティブ組織へのアプローチ~」

  株式会社 キャリ・ソフィア 代表取締役 木山 美佳

 

  組織論に対する新たな視点を、ポジティブ心理学を、レジリエンスといったキーワードから

   解説頂きました。

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2.「『よろず支援拠点』のご案内と埼玉県の取組みについて」

  埼玉県よろず支援拠点 チーフコーディネーター

  全能連認定マネジメント・コンサルタント 越智 隆史

 

  国の制度であるよろず支援拠点。その埼玉県のチーフコーディネータのお立場から埼玉県での活動を

   ご紹介いただいたと同時に、認定者の方々との連携の可能性を呼びかけされました。

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3.マネジメント・コンサルタント(MC)/マネジメント・インストラクター(MI)

  制度のご案内

 

 当日は、全能連認定資格制度にご興味を持っていただいた一般の方にもご参加いただきました。

 ご理解を深めて頂く一助になれば幸いです。

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4.ISO20700 Guidelines for management consultancy services 解説

 

      経営コンサルティングサービスは、提案から約4年の年月を経て2017年5月にISO規格として正式に

  発行されました。その内容の解説と、MC・EMIと同時にCMC認定をされている皆様にとって

  どのように活用ができるかを解説しました。

 

今回は以上のようなバラエティに富んだ内容で、かつ対象の方も既認定者、会員企業様、また全能連活動にご興味を持っていただいた一般の方など広範囲の方においでいただきました。今後も皆様に有益な情報ご提供、また皆様相互間の連携の一助となるよう交流を図って参りますので、今回ご出席いただけなかった方も次回は是非ご参加下さい。

 

繰り返しになりますが、今回ご出席いただいた皆様、ありがとうございました。

またのご参加をお待ちしております。

 

 

ISO 20700 Guidelines for management consultancy services解説

経営コンサルティングサービスは、2017年5月、ISO規格として発行されました。

皆様ご存知でしたでしょうか?

 

この規格は、全能連が日本唯一のメンバーとなっている国際コンサルティング評議会 ICMCI(International Council of Management Consulting Institutes)のメンバーが中心となって働きかけ、およそ4年の歳月をかけてこのたび発行となったものです。

 

特徴としてはISO規格でありながら、タイトルに「ガイドライン」と入っていること。

これは、既にコンサルタントして活躍されている認定者の方々のやりざまの妨げや足かせにならないよう配慮したものであると言えます。これ以外に、以下の方針に則り、今回のISO規格書は非常にシンプルでわかりやすく、かつ利用しやすい構成になっています。

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この、「利用しやすさ」はコンサルタント側にとっては義務的、強制的な「要求事項」の代りに「ガイドライン」とされていることであり、同時にコンサルティングを依頼するクライアント側にとってもコンサルティングのプロセスや成果物はどういったものであるのか、あらかじめ理解しやすいように明らかにしてある点に表れています。別の表現をすれば、クライアント側の不信感を軽減し、かつコンサルタント側の職業倫理に基づいた公明正大なサービスの提供を促すための共通言語として、今回のISO規格は成立しています。

加えて、インプットとアウトプットに言及しても、プロセスにはあえて言及しないことでコンサルティング企業、又は個人コンサルタントの独自ノウハウや新規性を妨げないように配慮されています。

 

今回の規格成立までをリードしたICMCI(CMC-Global)からは、「CMCとして認定される皆様は、どうぞ積極的に『ISO20700に準拠している』ことをアピールし、活用してください」とコメントされており、名刺等への記載を推奨されています。またより分かりやすくISO20700準拠を示すため、チェックリスト等のツールを作成中です。作成されましたら、また本ニュース等でおしらせいたします。

 

(お知らせ)

①7月21日(金)で用いました説明資料は認定者又は会員企業所属の方に限り、メール添付で送付させていただきます。ご要望の方はmc@zen-noh-ren.or.jpまでお知らせください。

②今回発行のISO規格文書は英文及び仏文が正規のものになります(2017年7月現在)。和文は正規のものではなく、全能連の試訳によるものです。また、著作権保護の観点より、正規書面をコピーしてお渡しすることはできませんのであらかじめご了承ください。

 

以上

 

 

 

 

 

 

全能連 認定資格申請受付を開始いたします

 

 

日頃 当連盟の活動にご関心をお寄せいただきまして誠に有難うございます。

今年度も、全能連認定のマネジメント・コンサルタント(MC)並びにマネジメント・インストラクター(MI)に

・新規に申請される方

・既に認定されている方で、更新又は昇格の申請をされる方

の受付を開始いたします。

 

締切は2017年10月31日(火)郵送必着となりますのでご注意下さい

(電子メール添付では受付できませんのでご注意ください)。

 

<ご注意いただきたい事項>

1)本年度より申請書面の年号欄は西暦でご記入をお願い致します。

これに伴い、昨年までの申請書類とは若干様式が変更になります。

昨年までの書式はご使用にならぬようお願い致します。

 

2)また、既認定者で更新又は昇格の対象者の方は個別にお知らせしておりますが、

MC審査団体所属の方は、各審査団体様にお問合せ、また申請書提出をお願い致します

 

3)申請書面は、手書き又は電子ファイルへのタイプアップでの作成が可能ですが、

手書きによる判読しやすさも審査の対象となるため、電子ファイルのご使用を推奨しております。

 

ご不明な点がございましたら事務局(mc@zen-noh-ren.or.jp又は mi@zen-noh-ren.or.jp)

までお問い合わせください。

 

以上、よろしくお願い致します。

 

 

 

【インタビュー】第68回全国能率大会 経済産業省経済産業政策局長賞を受賞して

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 全日本能率連盟では「経営の科学化」推進に向け、“産業振興”、“経営革新”、“人材開発”などに関する論文を広く募集し、優れた論文には「経済産業大臣賞」を授与しています。

前回のインタビューに続き、第68回(平成28年度)全国能率大会論文で経済産業省経済産業政策局長賞を授与された、日本ビジネスブレーン株式会社の佐々木伸氏にお話を伺いました。

論文タイトルは「設計情報の可視化・連携・活用による設計改革マネジメント〜組織総合力発揮によるグローバル設計力の強化を目指して〜」。 長年、製造業に関わってきたエキスパートの佐々木氏ならではの業界への視点を、論文にどう落としこんだのか、じっくりとお話していただきました。

 

技術を可視化することにより、自分自身のコンサル技術向上に役立てる

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ーー経済産業省経済産業政策局長賞の受賞、おめでとうございます。

 

佐々木氏(以下、佐々木):ありがとうございます。この論文大会に提出したのは2回目ですが、実は初回である前回はまとめるのに精一杯で、その時の評価はとても厳しかったです。今回は頭を切り替えて書いた結果、輝かしい賞をいただけました。大変嬉しいです。

 

ーー前回応募した論文と、内容を変えたのですか?

 

佐々木:内容は今までの仕事をまとめたものなので、大きくは変わりません。しかし、見せ方というか、表現を変えました。前回は「自分の今までの仕事を発表したい!」という気持ちが強く、今から思えば「自分はこんなことをやってきた」「こんなことを考えてきた」という主張が強すぎました。誰がどんな風に読むかということをあまり考えていなかったのですね。しかし、それでは論文になりませんよね。

 

ーー今回は、論文を読む相手を意識しながら書いたのですね

 

佐々木:はい。相手は、私の仕事に興味を持って話を聞きに来てくれるセミナー参加者ではありません。私のことをよく知らない人が読むのだということを念頭に置きました。さらに「届けたい人は誰か?」ということを考えました。査読者やコンサルタントはもちろんなのですが、その人たちに理解してもらうのは当然。突き詰めていくと、その先にいるお客様‥‥‥製造業の方やそこの設計者に届かなければ、価値は半減すると考えました。コンサルタント、さらにはお客様に、「これは面白いぞ」と興味を持っていただいて、刺激になってくれたらいいと思いながら書き上げました。

 

ーー「自分の技術を公開したくない」というコンサルタントもいるかと思いますが、佐々木さんはその葛藤はありませんでしたか?

 

佐々木:オープンにしたくない気持ちもよくわかります(笑)。恥ずかしいという気持ちもあるでしょうし、技術を盗まれたくないという人もいるでしょう。しかし、やはり振り返りは大事です。私は普段の仕事では、最初に仮説を立て、走りながら修正をかけていきます。すると最後には、最初の仮説に基づいたプログラムと大きく変わっている場合があります。そんなこともありますから、最後はいつもまとめ直しをしています。そうやって、ひとつひとつまとめてきたものを総括して論文に起こすことは、いわゆる「自分の技術の可視化」になります。そして私自身のコンサル技術を客観的に見ることができ、技術向上のためのポイントなどが分析できます。そして、次のお客様にいい仕事を提供することにもつながります。

この論文大会は1年に1回。論文を目指して1年間かけて整理してひとつの文章にまとめていくというのは、非常に有効なまとめ直しではないかと思います。

 

ーー「技術の可視化」は、まさに佐々木さんの論文テーマでもありますね。

 

佐々木:はい。「可視化する」ということは非常に重要なステップだと思っています。私の論文では「設計情報の可視化」をメインに書いていますが、可視化することによって組織が強化されます。どういうことかというと、大きな仕事のフローは可視化されてはいるものの、実際の現場の中で起きたことは、個人のメモだったり会議ノート・議事録だったりとバラバラになっている場合が多いのです。それが技術的な内容の場合、ベテランの技術者・設計者の頭の中にしか情報がない場合がとても多い。技術の可視化ができなければ、会社としての蓄積ができない。そういうところをきちんと可視化していくような仕組みを作っていきましょう、ということをまとめました。

 

ーー技術者の場合、「勘と経験」に基づいているところも多そうですが・・・。

 

佐々木:そうなのです。そこにきて、IT化がますます進むでしょう。ベテランは経験による知識はあってもITを使えないことが多く、新人に投げてしまう。新人はCADなどの活用は巧みですが、経験不足で技術検討に入りづらい。ここで、技術継承の断絶が起きます。

かつて日本の製造業はトップクラスでしたが、今のベテランがいなくなったら技術が継承されなくなってしまう恐れがあります。大事なのは仕様設定に関わる理屈とその履歴管理です。言葉で伝えるべきところを、「前にそうやっていたから」で進めていては、若手は育ちません。若い人も、設計したくて入ってきたのにいつまでもCADのオペレーターでは辞めてしまいます。その結果、「今の若い奴は根性がない」などと若手への評価が低くなり、悪循環につながってしまいます。「考え方の履歴」を残していれば、若手設計者でも、中途採用の設計者でも現場で調べながら学んでいくことができます。

本来であれば、「設計」とは理屈にそって設定するものです。若手に図面を書かせてばかりではなく、考え方や理屈を教えていかなければいけません。新人教育も技術教育も、原点に立ち返って再構築しなければいけないのです。そのために、頭の中を可視化することをお勧めしています。

 

ーー今から原点に立ち帰って育て直すには、すごく時間がかかるのでは?

 

佐々木:そうですね。だからこそ可視化をしよう、という話を論文にまとめました。可視化とは、設計の場合はお手本を作ることです。考え方の履歴が手本になります。確かに時代とともにIT化が進み設計期間が短くなくなったように思いますが、それは基本があってこそです。基本の考え方、それこそが今、現場で「勘と経験」と呼ばれているものです。それを履歴として残していくことにより、その会社の技術が継承されていくのです。

 

ーー「技術の可視化」は、新人教育にも使える話なのですね。

 

佐々木:教育にも使えますし、設計や設計管理などもスムーズになります。私は今まで、そういうことをコツコツとやってきました。そんな中、この論文自体がまさに「私の頭の中の可視化」になりました。やはり、他人に読んでもらうことを意識するというのは客観的にならざるを得ませんから、説明の抜け漏れなどに気がつくようになります。何年も同じ業界にいると、セミナーなどでもポイントをポンポン話してしまいがちです。しかし、論文を書こうと一旦立ち止まることによって、異業種の方が読んでもわかりやすいように整理できたと思います。

 

「情報の可視化」を行うことで、製造業界が底上げされるきっかけになれば

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ーーテーマ自体はお仕事で行われてきたことですが、論文を書くにあたって気をつけたのはどのようなことでしょうか。

 

佐々木:昨年の論文は、主に製造業の業務改革について書きました。しかし、それではターゲットが大きすぎるのですね。全社改革となると、一握りの会社しか参考になりません。多くの場合は、部だとか課で悩んでいるものです。そこで、対象となる範囲を狭めて、設計者が困っているところに光を当てました。私自身がもともとは設計者だったので、悩みの推測もしやすかったのです。

 

ーー論文を書く意義とはどこにあると思いますか?

 

佐々木:最大の意義は、「自分の脳内の可視化」ですね。コンサルタントは、みなさんプロジェクトが終わるごとに振り返りをしているかとは思いますが、それを客観的に見つめ直すことが大切です。そして、それによって、必要としている人に届きやすくなる、ということじゃないでしょうか。今回の論文は製造業を対象にしていますが、いろいろな業種の方に応用が利くと思います。

もちろん全ての会社に当てはまるわけではないと思いますが、このような賞をいただくことによって、自分で発信するだけではなかなか届かなかった方々に知っていただくことができるでしょう。そこで、技術管理や人材育成につなげていただいて、少し大げさですが製造業が底上げされるきっかけになったら嬉しいです。

 

ーーーでは、最後にこれから論文を書く人に向けてメッセージをお願いします。

 

佐々木:私はプレゼン資料などではキーワードを中心に書いています。ですから正直に言えば、論文を書くことにとても苦労しました。日本語の表現にはバリエーションが多く、どの言葉を選べば伝わりやすいのかと、推敲に推敲を重ねました。散歩の途中に浮かんだことをメモしたりなどもしましたしね。文章での表現は本当に難しかったですが、書いた甲斐はあったと思います。私のように不慣れな者でもこんなに輝かしい賞がいただけたのですから、躊躇している方もチャレンジしてみるといいのではないでしょうか。評価はどうあれ、きっと何か気づきを得ることができるはずです。

 

 

ーーありがとうございました。今後の佐々木さんのご活躍を期待しています。

 

 

 

 

<プロフィール>

佐々木伸 氏

日本大学理工学部機械工学科卒業。三井造船(株)プラントエンジニアリング事業本部にて機器設計,配管設計に従事。その後、ジェムコ日本経営、日本ビジネスクリエイト、アドビックコンサルティングを経て、2006年日本ビジネスブレーン株式会社設立、代表取締役就任。製造業の現場改善、新生産ライン構築、設備企画、新工場企画、設計改善、新規事業企画など、製造業の全般領域での実践型経営コンサルティングを手掛ける。公益社団法人 全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント。著書に「満足できる工場レイアウト検討の基本原則と構想の進め方マニアル」、「儲かる工場のための設備企画・構想マニアル」(新技術開発センター)、SCP入門(共著),情報技術辞典(執筆者)等がある。

 

取材日:2017年5月31日

 

 

【インタビュー】第68回全国能率大会経済産業大臣賞を受賞して

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 全日本能率連盟では「経営の科学化」推進に向け、“産業振興”、“経営革新”、“人材開発”などに関する論文を広く募集し、優れた論文にはマネジメント界で唯一の「経済産業大臣賞」を授与しています。

第68回(平成28年度)全国能率大会論文で経済産業大臣賞を授与されたのは、上岡恵子氏(日本ユニシス株式会社)と青柳六郎太氏(ファイルース・コンサルティング)のお二人が書かれた「ICT投資におけるSCMキャッシュフロー方程式の有効性についてのケース研究ー化粧品製造企業A社の事例ー」。 今回受賞された「ビジネスにおける論文発表」の意義を、業務の内容などを交えながらお伺いしました。

 

 

二人で書くことにより、より深く、新しい気づきが得られる

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ーー最優秀賞である経済産業大臣賞の受賞、おめでとうございます。

 

上岡氏(以下、上岡):ありがとうございます。今回、共著ということになっていますが、もともとは青柳先生が長年取り組まれていたキャッシュフロー方程式、それを中心とした原価計算、会計フローの問題や課題についてのご活動を、まとめることができたらいいな、と思って書き始めたものです。

 

青柳氏(以下、青柳):ありがとうございます。今回、全能連さんで論文を応募できるというきっかけをいただいて、今までの自分の経験・知見をまとめてみようと思いました。コンサルタントの業務内容の知見というのは、実は集約や発表をする機会がなく、経験値が個人に依存してしまっているのが現状だと思います。それでは業界に広がりがないし、お客様も「何だかよくわからないけれど、とりあえず頼んでみる」ということになりがちです。私の今までの経験を資料として、皆さんに理解してもらって、その上で使っていただければ、ITベンダーさんもユーザーさんもハッピーになるのではないか、と思って応募してみようと思いました。

 

上岡:それがこんな素晴らしい賞をいただいて、本当に嬉しいです。

 

ーー長年のお仕事ということで膨大なデータがあるかと思いますが、どのようにまとめていったのですか?

 

上岡:このテーマ自体は青柳先生が長年取り組まれていたものですが、論文はここ3年間くらいをベースに書こうと決めていました。その中では、思ったようなデータが取れず、データ不足の部分ももちろんありました。しかしビジネスは生き物なので。むしろ、「ある部分においてはデータが取りづらい」などの正しい姿をお伝えできたのではないかと思います。

 

ーーお二人で書くことのメリットは何でしょうか。

 

青柳:テーマは私の研究ですが、上岡先生はお一人で全て書けるのですよ。ただ、シナジー効果は確実にありますから、一人で書くよりも深い論文になったと思います。

 

上岡:私は、青柳先生の胸をお借りした感じです。何しろ大先輩ですから、見方も経験も広くて深く、新しい気づきをいただくことが大変多かったです。

 

青柳:実は、私は今度古希になるのですよ。この論文大会には年齢制限がなくてよかったです(笑)。

 

上岡:大先輩でしょう(笑)。そこで、青柳先生のご経験をまとめて、皆さんと共有できたらいいと思ったのです。

 

ーー長年の経験を棚卸ししたことによって、新しい気づきはありましたか?

 

上岡:あります。軸となっているものは変わりませんが、最初に想定していたことと違っていることはままありますし、構想や計画時にもう一歩踏み込むべきだった、などが見えてきます。そういうことを、書いているうちに見つけることがありますね。

 

青柳:特に私のテーマは「方程式」ですし、最初は理論が中心です。それを企業さんに使っていただき、フィードバックを論文にまとめたことによって、「この部分は誤解が多い」「この部分は質問が多かった」などが明確化しましたから、我々としても非常に勉強になりました。

 

 

「自分は何をやってきたのか」ということを、形にしていく

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ーー今回の論文では、化粧品製造会社の事例を書かれていらっしゃいますが、この「キャッシュフロー方程式」は他の業界にも応用ができるものなのでしょうか。

 

青柳:キャッシュフローの計算方法ですから、さまざまな業界で応用が可能です。基本的にはモノを作ってらっしゃる会社さんのための方程式ですが、実際はサービス業や建設業の企業様にもお使いいただいています。どの企業様も会計はいますからね。この方程式では、決算の数字がITによって可視化でき、さらにコントロールできるようになっています。

 

上岡:ただ、コンピューターの仕組みは急激に変わってきていますから、IT投資の評価基準も新しくしていかなければいけません。部署にホストコンピューターが1台しかなかった時代と、パソコンは一人1台の支給が当たり前の現在とでは、評価が変わってくるのは当然です。そういう意味で、私どもは長いスパンで継続的に取り組み、実証を重ねていこうと考えています。

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ーー今後は、どのような活動を予定されていますか?

 

上岡:本年度は、営業改革をテーマに論文を書きたいと思っています。ずっとICT投資を行っていて、もちろんこれはまだ自分たちの仕事として継続していきます。ただ、お客様…特に中小企業のクライアント様は、販路の開拓やITが売り上げにどうつながるのかというところに非常に興味をお持ちです。実は青柳先生は、コンサルタントとして独立なさる前は営業に携わっていらっしゃって-

 

青柳:会社員時代は営業部で、営業向けの研修などの教育も行っていました。営業と言っても売るだけではなくて、お客様の課題を見極めて、その課題を改善のところで自社の製品やサービスを提案すべき…という内容の研修です。

 

上岡:そういう研修内容なども組み入れた上で、営業力強化のための実践的な営業改革をテーマに事例ベースで、設計書との関係性などを書いていきたいと考えています。青柳先生のご経験をひとつひとつまとめて、形にして、残していきたいのです。

 

 

ーー論文を書く意義とはどこにあると思いますか?

 

上岡:自分は何をやってきたのかということを、形にしていくところだと思います。せっかく発表の機会をいただけているのだから、形を作ること。それらのひとつひとつの積み重ねが、人生の中で自分のマイルストーンになっていくのだと思います。

 

青柳:私の年齢のことをみんな知っていて、「あの人はもうそろそろ引退かなあ」なんて思っていた人もいるかもしれません。そんな時にこんな賞をいただけたのは大変意義深いと思います。若い皆さんが「俺も負けちゃいられない」と奮起したり、逆に同年代の人の励みになったりして、会社が元気になったら嬉しいですね。

 

上岡:自分が若い時って、たとえば70歳になったらどうしているんだろう、と全く予想がつかないですものね。人間の完成度もコンサルタントの完成度も高く、現役で活躍される・・。そういう意味でも、賞をいただいて、それが広まったら素敵ですね。

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ーーーでは、最後にこれから論文を書く人に向けてメッセージをお願いします。

 

上岡:お仕事の中ですごく価値の高いものを皆さんが持ってらっしゃるはず。論文を書くことが上手な方は、それを掴むのがお得意なのだと思います。逆に言えば、お仕事の中に貴重な気づきは必ずあります。それを見つけて、広く皆さんにお伝えするスタンスで書いていくといいのだと思います。ITの世界では常に新規性を求められているのですけど、私たちは愚直なまでに継続的です。でも、大きな改革やまっさらな新しさだけではなくて、時代とともに移り変わったものやインクリメンタルな改善などをお伝えしていけたらいいと思って書いたものが、こんなに素晴らしい賞に結びつきましたから。

 

青柳:社会人になると終業式がありませんから、区切りは自分で作ろうと思わなければ作れません。自分の知見をもう一段ブラッシュアップするために、自分のために論文を書くのもいいと思います。たとえ厳しい評価をいただいたとしても、身を引き締める効果もありますからね。それが実際に高評価をいただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。

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ーーありがとうございました。今後のお二人のご活躍を期待しています。

 

 

 

<プロフィール>

上岡恵子 氏

NEC日本電気株式会社を経て、日本ユニシス株式会社勤務。ERP導入・生産管理業務・SCM構築コンサルタント中小企業診断士、全能連マスター・マネジメント・コンサルタント、米国PMI認定プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)。共著に「キャッシュフロー生産管理ーものづくりからキャッシュの創造へ」がある。

 

青柳六郎太 氏

1970年NEC日本電気株式会社入社。情報処理サービス、経営ソリューションに携わる。2004年専修大学大学院客員教授を経て、2005年ファイルースコンサルティング設立。SCM/原価/会計アドバイザー、税理士、中小企業診断士、システム監査技術者、公認内部監査人、IFRSCertificate、WEB上級解析士。

 

 

取材日:2017年5月31日

活躍するMC-第2回 株式会社セントジェームズアソシエイト 萩原泰之さん

 

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全日本能率連盟が認定するマネジメント・コンサルタント/インストラクター中からご活躍中の方をピックアップしご紹介の第2回目。

今回は、「株式会社セントジェームズアソシエイト」の萩原泰之さん。企業の海外事業展開を支援、また海外で活躍する人材育成支援を中心に活躍されています。

萩原さんはICMCI(国際コンサルタント協議会)にも積極的に参加しており、2019年の全能連70周年記念事業として開催するアジア・パシフィック地区カンファレンスのWG主査に就任することが決定しています。

 

35年の海外勤務経験を活かし、クライアント企業のグローバル展開をサポート

海外事業部を立ち上げたい、グローバル人材を育てたい、と考えてはいるものの、具体的にどういう展開をしていくかという悩みを持つ経営者は多いのではないだろうか。そんな中小企業に向けて、萩原氏はグローバル展開の事業戦略/展開支援を提供している。 日本企業の成長戦略の最も重要な課題として海外進出が叫ばれて久しい。しかし、多くの企業は未だ海外に販路を持たず、また従業員の渡航経験も乏しい。一方で、大企業・中小企業を問わず大規模なM&Aや海外販路拡大などを展開している企業も増えてきた。このダイナミズムの中で、限りある経営資源を損なわず、今いる社員を「グローバルに活躍できる人材」へと育て上げて海外取引を確実に拡大するよう導いていく。これが萩原氏のコンサルティングだ。

 

独立してまだ日が浅いものの、それまでに培ってきた経験と豊かな人脈を武器に、着実に実績を上げている萩原氏。東証一部上場企業の海外展開提案、海外大手オーディオメーカー 営業本部長コーチング、大手通信キャリア企業のタイ市場調査支援、さらには東証一部上場企業営業幹部への米国教育プログラム支援など、快進撃を続けている。

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大学卒業後、大手総合エレクトロニクスメーカーにて35年間、一貫して海外事業を支えてきた。仕事内容も、豪州法人では財務部新規事業マネージャー、アジア地域事業本部ではアジア法人副社長、小売業向けITシステムソリューション営業部長やグループのグローバルアカウント推進本部長など、幅広い業務をこなしてきたマルチプレイヤーだ。

オーストラリアでは事業買収や新規開拓を担当し、300億円規模を動かしてきた。成功もあれば失敗もある。そのさまざまな経験が、現在の「クライアントの立場を考えたコンサルティング」につながっている。

 

異文化の中での交渉は、価値を共有する技術

もともとは、海外支援における事業展開サポートをメインに、経営トップへのコンサルティングや代理店選定、契約支援など営業の仕組みづくりを提供していた萩原氏だが、海外事業を継続的に発展していけるかと考えた時、実は「人材」の問題に行き着くことに気づいたという。

海外へ派遣する社員への研修は、とかく「病気になった時には」「契約などの手続きは」といった事務的な講習で終わってしまいがちだ。

しかし、海外での交渉において、一番大事なのは「異文化への理解」だと萩原氏は言う。

もちろん、駐在先の文化や習慣はある程度調べては行くだろう。しかし、表面的にはわかりづらい歴史・民族抗争を含めた文化の肌感覚を身につけなければ、信頼を得ることは難しい。

 

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海外駐在当時の写真(萩原氏提供)

 

「たとえば、ドイツはイデオロギーにより東西に分かれていますが、それはこの5、60年の話。1000年以上前のドイツという国がなかった時代を考えると、民族的には南北で分かれているのです。特に欧州の場合は国の成り立ちが複雑ですから、ちょっとした雑談のつもりで民族間のデリケートな部分に触れてしまい、大問題に発展する場合があります。知識はもちろん必要ですが、そういった重層的な歴史の中でも相手との価値を共有していく技術が極めて大事になるのだと考えています」。

もちろん、萩原氏がすべての国の歴史・文化に精通しているわけではない。が、これまでに培ってきたネットワークを通して、臨機応変に人材育成プログラムを充実させていく。

 

より実践的にリニューアルしたグローバル人材育成プログラム

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萩原氏のグローバル人材育成プログラムは、この6月にリニューアル。海外勤務35年の実績に基づいた、より実践的なプログラムとなる。

海外クライアントとの長い取引を見据え、論理的思考とタフなメンタルを育て海外交渉を成功させるための「世界で闘える人材」シリーズは、これから海外派遣を担うであろう若い人材はもちろん、彼らを指導する中堅社員にもぜひ受講してほしいと萩原氏は語る。

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人材マネジメントをベースに海外支援全体を考え、世界進出へのパートナーとして広い視野でコンサルティングを行う。萩原氏の活動は、これからの海外戦略を考える企業、もしくは未だ実績が上がっていない海外拠点を持つ企業の改革を、大きく押し進めていくだろう。

 

プロフィール

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米国ニューヨーク州立大学オスウィゴ校留学、筑波大学卒業後、1980年に富士通株式会社入社。以後、オーストラリア、シンガポール、イギリスなど諸外国の現地法人にて勤務。2016年に株式会社セントジェームズアソシエイツ設立、代表取締役就任。企業の海外戦略支援・人材育成を提供している。モットーは「困難な課題にチームでチャレンジし、高い目標を達成すること」。