zen-noh-ren’s diary

マネジメント業界とプロフェッショナル人材に向け、情報を発信していきます。

研究交流会 田中秀春氏講演「顧客が求めるコンサル技術とは」

平成28年1月19日、新年初の全日本能率連盟研究交流会を開催。

グループディスカッションに先立ち、豊富なご経験を持つ経営コンサルタント・田中秀春氏による「顧客が求めるコンサル技術とは」と題した講演が行われました。

 

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コンサルタントに必要な技術、ならびに顧客との関係性」をテーマに、経験の浅いコンサルタントはもちろん、現在活躍中の方においても有用な思考法をお話いただきました。

講演「顧客が求めるコンサル技術とは」

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トピックは下記の3点。

1 顧客のコンサルタントへの「能力の値踏み」と「緊密度の濃淡」

2 コンサルタントに必要な3本の矢

3 コンサルタントの心的風土が与えるコンサル技術

 

「顧客がコンサルタントに期待することは、”企業問題の解決と、これが生み出す成果・効果”、”早期に問題解決の成果・効果が見えること”の2点」と話す田中氏は、大学教授として学生たちに教えるかのように、平易な言葉かつユニークな語り口で、参加者を話に引き込んでいました。

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講演終盤で語られた言葉は

「空腹の子供に魚を一匹与えるか、
魚の釣り方を教えるか、
魚のいそうなところを見つける知恵を授けるか」

この言葉は、老子の「授人以魚 不如授人以漁」が元となると言われています。

田中氏は、「魚」を「知識」と置き換え、「顧客に、本当の満足を提供しているか」を改めて意識するための金言として、コンサルタントがいつも心に留めて置くべきもの、とお話されました。

田中氏のお人柄もあり、終始和やかに進んだ講演会。終了後は質疑応答により活発な意見交換がなされ、その後のグループディスカッションに続きました。

 

尚、この講演の際に使用されたPowerPoint資料は、田中氏のご厚意により、後日希望者にメール配信されました。

参加できなかった会員の方でご希望の方がいらっしゃいましたら領布いたします。全能連事務局までご連絡ください。

お問い合わせフォーム | 公益社団法人 全日本能率連盟

 

 

田中秀春
1967年航空大学(現・独立行政法人)卒業。日本航空㈱入社、乗員機関士、乗員訓練所および航空大学校学科教官。その後シャープ・ターミナル・システムズ㈱設立に参画、製品開発本部事業企画・開発主任技師を経て、産業能率大学及び大学院教授として問題解決力養成講座、生産管理、プロジェクト・マネジメン ト、問題分析力養成講座、MOT‐テクノロジー・マーケティング等の講義を担当。
コンサルタントとしては、主に大手メーカー(製紙、電機、複写機、半導体、部品、自動車など)の新製品開発プロジェクト指導、テクノロジー・マーケティングの若手への基本・重要教育、部門長への企業組織形態再編や人事評価の指導など多岐に渡る。
主な著作:共著-「価値経営」日刊工業新聞社、「新・VEの基本」「テクノロジー・マーケティング」 「バリューイノベーション」(いずれも産業能率大学出版部)。

 

テクノロジー・マーケティング―技術が市場を創出する

テクノロジー・マーケティング―技術が市場を創出する

 
新・VEの基本―価値分析の考え方と実践プロセス

新・VEの基本―価値分析の考え方と実践プロセス

 

 

新年情報交流会 手塚和宏氏講演と賀詞交換会

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局 手塚和宏氏講演

平成28年1月9日、一般社団法人日本能率協会にて、新年情報交流会が開催されました。
講演では、内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局/手塚和宏氏に地方創生についてお話いただき、今後のコミュニティ、および社会のあり方をどう考えていくかを紐解く場となりました。

 

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講演のテーマは「地方創生について」。政府の「骨太の方針2014」が示した「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」との目標達成に向け、「地方創生」は今、注目のテーマになっています。

 

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講演「地方創生について ー国と地方における人口の現状と将来見通し、総合戦略の策定・推進ー」

◯背景ー人口減少・出生率の低下等

◯国と地方の長期(人口)ビジョンと総合戦略

◯具体的施策等

1時間という短い間ながらも、上記の3つの視点からそれぞれに体系的に整理されたきめ細かいデータが開示され、緻密な解説がなされました。

 

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人口減少・出生率の低下

はじめに、世界的に進む人口減少について、日本全体から東京圏・首都圏の人口データ、人口移動の状況などが示され、現状の問題定義がなされました。

将来的には、2050年には人口が半分以下になる地点が6割を超え、うち2割では無住居化する、三大都市圏の高齢化が急速に進む、などの予想が語られ、各都市の人口増減率やサービス施設の立地状況などのデータが示されました。

国と地方の長期(人口ビジョンと総合戦略) 

続いて、「まち・ひと・しごと創生法」の概要とともに、諸外国の出生率の動向や地域ごとの未婚者の結婚意思・夫婦の理想子供数など、比較的若い世代の希望出生率について紐解いて行きました。

経済戦略において、労働人口・生産人口の見通しは欠かせないものとして、現状の把握から長期的な展望までが述べられました。

具体的施策等

地方への支援策「3本の柱」を紹介。「情報支援」「財政支援」「人的支援」の3つをベースに、地域に立脚した多彩なプログラムを実施していくとのこと。地方の問題は地域によって多様な課題があり、その土地ごとに具体的な施策を行うことが重要であることを、豊富な資料とともに説明されました。

また、地域経済分析システム RESAS

resas.go.jp

 が紹介されました。

RESASは地方創生関連の公開データベースで、関連法案や閣議決定の一覧や、全国の移住関連情報などがまとめられています。興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

講演後の質疑応答では、予定の時間を越えるほどの深い質問が寄せられました。会員の皆さんの関心の深さが伺えます。

 

講演後、賀詞交換会開催

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 新年最初の交流会でもあったことで、講演後は会場を地下レストランホールへ移して賀詞交換会を開催。全日本能率連盟中村会長の挨拶後、和やかに始まりました。

新しい年の幕開けに際し、あらゆる分野で活躍する会員同士の新たな出会いと交流の場となり、盛会のうちに幕を閉じました。

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障害者差別解消法及び障害者雇用促進法改正法の施行について

障害者差別解消法リーフレットのご紹介

経済産業省より、障害者差別解消法及び障害者雇用促進法改正法の施行について周知の依頼がありましたのでご連絡いたします。

↓↓ 画像をクリックするとPDFページが開きます。

障害者差別解消法リーフレット

●障害者差別解消法リーフレット

 

経済産業省所管事業分野における障害を理由とする
差別の解消の推進に関する対応指針。

http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/shougai/downloadfiles/set_shishin_keisansho.pdf

経営・技術大会(2)アスリートたちのマネジメント〜東京オリンピック・パラリンピックに向けて

記事(1)「中島厚志氏 基調講演」はこちら

 

続いて、NPO法人スポーツネットワークジャパン及び日本スポーツ学会代表理事、長田渚左氏による特別講演「アスリートたちのマネジメント〜2020年東京オリンピックパラリンピックに向けて」が行なわれました。

長田氏はノンフィクション作家でもあり、著書である「桜色の魂〜チャスラフスカはなぜ日本人を50年も愛したのか」の紹介、チャスラフスカ氏のビデオを交えながら、スポーツマネジメントを取り巻く問題の指摘と紹介が行われました。

特別講演 アスリートたちのマネジメント〜2020年東京オリンピックパラリンピックに向けて

まず、スポーツマネジメントとは何かという説明が行われました。長田氏は「スポーツマネジメントとは、選手のお金に関する問題だけではなく、大会やイベントの開催・運営、選手、メディア対応などを含むスポーツ全体のマネジメントを行うこと。スポーツをビジネス的に見る視点が必要である」と語りました。

■前半:オリンピックに向けたスポーツ関連の動きなど

(1)当事者である選手が声を上げないことが大きな問題である。それは、日本のスポーツ界の「上下関係」が大きく影響しているのではないか。

(2)エンブレム問題

(3)スポーツ庁初代長官に元水泳選手である鈴木大地氏が選出された問題について

など、スポーツに関わり30年を超えるという幅広い経験・知識を余すところなく披露。そのユニークな語り口に、聴衆からはどっと笑声が挙がりました。鈴木大地氏については講演の途中で参考ビデオの上映も行われ、その人となりが詳細に紹介されました。

■後半:ベラ・チャスラフスカについて

1964年のオリンピック東京大会にて、女子体操の金メダリストとなった、チェコスロバキア(現:チェコ)の選手ベラ・チャスラフスカ。かつて「5輪の花」とも呼ばれた彼女の激動の人生を追った長田氏の著書「桜色の魂〜チャスラフスカはなぜ日本人を50年も愛したのか」から、彼女の生きざまを紹介。

1964年の東京大会にて金メダル3つ、1968年のメキシコ大会では4つのメダルを獲り、国家的英雄となってからプラハの春〜2000語宣言、恩師の死などを乗り越え、重い心の病から回復。3.11の震災後には慰問に訪れ、被災地である大船渡市の中学生をチェコに招くなど日本への支援を長く続けていることを紹介しました。

その心にはどんな思いがあったのか。彼女と永きに渡り密接に関わってきた長田氏だからこそ伝えられるチャスラフスカの魅力と日本との深い絆を、東京大会当時のスライド上映を交えながら語られました。

 

長田氏は最後に、「東京オリンピック当時の事故による死亡者はとてつもなく多かった。日本には、こういう側面もあるということを知っていていただきたい。これから2020年東京大会に向け、各種工事が始まっていく中で、突貫工事も出てくるかもしれません。その状況には、私たちは目をつぶってはいけないと思います。

また、年間数万人の自殺者が出る日本という国で、スポーツが何か活用できることはないかといつも考えています。スポーツ観戦でもいい、何か自分で初めてもいい。スポーツには、単に勝ち負けではない「心に与える大きな力」があります。私も小さい時は喘息持ちで運動は苦手な子どもでしたが、趣味のボクシング観戦によって心が解放されました。みなさんにもっとスポーツの広さは深さを知っていただき、さまざまな問題活用に利用していただきたいと思います」と語りました。

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長田氏の溌剌としたユニークな語り口は、会場に集まった聴衆を強く引き込んでいました。2020年のオリンピック東京大会に向けて各種業界が動きを見せる中、「スポーツマネジメント」からの視点は来場者に大きな気づきを与えたことでしょう。

 

講演者:ノンフィクション作家。NPO法人スポーツネットワークジャパンおよび日本スポーツ学会代表理事。 スポーツ総合誌『スポーツゴジラ』編集長/長田渚左氏

桜色の魂~チャスラフスカはなぜ日本人を50年も愛したのか

桜色の魂~チャスラフスカはなぜ日本人を50年も愛したのか

 

 

特定非営利活動法人 スポーツネットワークジャパン

 

 

 

経営・技術大会詳細(1)「成長政策を基に〜2020年以降の日本経済を考える」

去る平成27年10月20日、全日本能率連盟主催、経済産業省後援の第67回全国能率大会 経営・技術大会が東京・市ヶ谷にて行われました。

講演は、「どうなる、どうするこれからの日本」をテーマに、以下の内容で行われました。
独立行政法人経済産業研究所 理事長の中島厚志氏による基調講演「成長政策を基に〜2020年以降の日本経済を考える」

NPO法人スポーツネットワークジャパン及び日本スポーツ学会代表理事 長田渚左氏による「アスリートたちのマネジメント〜2020年東京オリンピックパラリンピックに向けて」

まずは中島厚志氏より基調講演が行われました。

中島氏は、女性活用やTPPによる経済の活性化について研究されており、その研究成果はアベノミクスの政策にも盛り込まれています。これから2020年に向け、日本の経済が大きく動く中で、その動きをどう見るべきか、どのように解釈していくべきかをお話しいただきました。

講演内容要旨は以下の通りです。

■基調講演「成長政策を基に〜2020年以降の日本経済を考える」

1. 日本経済の現状

2008年のリーマンショック以降の日本経済の低迷と変動は、景気後退なしの米国、景気後退1回のみのユーロ圏経済と比べても大きく、回復していない。外需依存による経済成長などが背景にあり、為替変動の平準化や内外需バランスが取れた経済成長などが不可欠となる。そもそも、日本は世界最速で少子高齢化が進んでいる国であり、生産性向上と労働力維持も最も必要な国となっている。

2.経済活性化の考え方

アベノミクスは、十分に活用できていないヒト、モノ、カネを活用し、経済活性化を図る政策である。ただし、政策だけで経済は活性化せず、実現には企業活力の増進、回復が欠かせない。
特に、日本企業は米独企業と比較すると資金余剰幅の大きさが目立つ。つまり、収入を企業が溜め込んでいる図式である。国際的に見てもこうした日本企業の縮み志向は顕著であり、賃金増や雇用増にもっと支出するなど、企業活動の活発化が大きな課題となる。

・幸い、日本企業にとって今が投資のチャンスとなっている。日本のものづくりは世界でも高水準と言われるが、「ものを作っているだけ」では世界での競争に負けてしまう。国際競争はますます厳しくなっており、非製造業・製造業を問わず、研究開発やアフターサービスなど、ITや知財といったソフト面の活用を一層充実させ、競争力を向上させる局面にある。

・また、日本企業のグローバル化も遅れており、特に中小企業の一層の海外進出が企業と経済を活性化させる。

・とりわけ、TPPは日本経済を活性化させる大きな材料となる。TPPの恩恵は、企業活動だけではなく、消費者にも大きい。そして、経済効果は非関税障壁まで撤廃し、国内市場への外資系企業参入増や規制緩和を図ることで一段と拡大する。

・しかも、グローバル化イノベーションを進める上でもプラスになる。世界と競合している方がイノベーションは起きやすい。また、外資系企業の国内進出も実は日本企業にプラスとなる。実際、日本企業は同一産業の外資系企業からプラスの波及効果を受けており、長期的には生産性向上の可能性がある。

・ところで、オリンピックは経済活性化の好機ながら、過去の例を参考とする限り、経済効果はやや限定的である。それよりも、オリンピック年を目標として国民の姿勢や意識を前向きにする効果を重視するべきである。成長戦略では、2020年の東京オリンピック開催を好機と捉え、東京に限らず日本全体の活性化を目標に2020年に向けて改革を加速し、本格的成長軌道への回復を実現する構えとなっている。

・ヒトについて申し上げると、日本はOECD諸国の中で、女性の活用が最も進んでいない国のひとつである。女性を筆頭とした多様な人材の活躍は、企業活力増進と経済活性化に直結している。少子高齢化で人手不足が広がる中、企業が真剣に省力化と女性・高齢者・外国人人材の活用を図ることがその競争力を高めることになる。

3. 安心につながる社会保障

日本の社会保障支出では高齢者のウェイトが大きくなっているが、少子化対策に見られるように現役世代への社会保障も一段の充実を必要としている。代表的な福祉国家であるスウェーデンは、良好な経済成長を企業競争で実現し、企業収益を中心とした大きな所得移転で充実した社会保障を実現している。財政赤字が大きい日本では、なかなか所得移転の財源確保ができず、格差が大きいアメリカ型になっているが、スウェーデンのようなやり方も検討に値する。

 

●まとめ

 アベノミクスの政策で経済活性化の効果が高いのは、研究開発、人材育成と競争であり、2020年オリンピック以降にも良好な経済成長を遂げるためには、一層の人材活用と教育高度化、TPPも活用したグローバル化推進、積極的な企業活動とイノベーション加速などにかかっている。今後、国内市場がますます縮小し長期の停滞に入ることが予想される今、経済・企業の飛躍につながるイノベーションを起こすためにも、投資と人材活用を積極的に図る企業経営が期待される。

 

講演者:独立行政法人経済産業研究所理事長/中島厚志氏

経済産業研究所RIETI):経済政策に関連する研究を幅広く行っている、国際的にも知名度の高いシンクタンク。 

統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略

統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略

 

 

 

 

欧米自動車メーカー・アフターセールス事業改善から見た海外でのコンサルティングの将来:発表会レポート(後編)

【後編】 成長・注目すべき市場、アジアについて

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(1)市場の実情 世界主要60ヵ国の合計自動車販売台数の推移を紹介。

データによれば、欧州、アジア太平洋、日本は、中国・北米に次ぐ重要な自動車市場である。 全世界の自動車ディーラー数の多くは欧州に偏っており、店舗数を見ると「西・中央・東・ロシアを含めた欧州地域」は90,000店舗。

これは、全世界の54%である。そして日本とASEAN全土を見てみると、合わせて9,000店舗で、5.5%にとどまっている。

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欧米自動車メーカー・アフターセールス事業改善から見た海外でのコンサルティングの将来:発表会レポート(前編)

去る2015年8月18日、全能連研究交流会にて、正木公一氏(日本能率協会欧州エージェンシーブラッセル責任者兼日本能率協会コンサルティング欧州法人副社長)の発表が行われました。

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発表は前後編に分かれ、前編は「自動車メーカー・アフターセールス部門での海外コンサルティングの現状」、後編は「成長・注目すべき市場、アジアについて」というテーマで講演が行われました。

約30名ほどの会員が参加する中、主にヨーロッパ自動車メーカーに向けてのコンサル事例などを踏まえた分析データを解説し、海外コンサルティングの未来を予想していきました。

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