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zen-noh-ren’s diary

マネジメント業界とプロフェッショナル人材に向け、情報を発信していきます。

【インタビュー】論文を書く意義とは/経済産業大臣賞を受賞して(後編)

インタビュー

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全国能率大会募集論文の第67回(平成27年)全国能率大会 経済産業大臣賞を授与された村上剛氏(株式会社日本能率コンサルティング)に、受賞のお気持ち、また今後の抱負などを交えてお話を伺いました。

前編「どうやって人事が経営に貢献していくのか」は>>こちら

 

今後の人材マネジメント業界の展開

ーー今後の人材マネジメント業界は、どう展開していくとお考えですか?

 

村上:論文にも出した言葉、「タレントマネジメント」がキーワードの一つになってくると思います。「タレントマネジメント」という言葉は、そもそもは次世代の経営者や次世代リーダーを”トップタレント”と呼び、そういう人たちをいかに計画的に育てていくかというマネジメントプログラム……という概念がありました。それがどんどん広がっていくと同時に意味も広義になっていき、今では「いかに一人一人の才能を開かせるか」というニュアンスを持った言葉になりました。
「タレントマネジメント」という言葉自体は欧米で発生したものですが、今いる人をどう活かすかという発想は、労働人口が減り続けている日本において、最重要といってもいいくらいどの企業でも必要なものです。それを論文では “人材資産マネジメント”と呼んでいます。

 

ーー欧米でいう「タレントマネジメント」と日本でいう「人材資産マネジメント」は若干意味合いが違うものでしょうか?

 

村上:違いますね。ただ、クライアントには「タレントマネジメントみたいなものです」と言うと通じやすいので、そう言ってしまいますけども(笑)。考えている発想は違うんです。

 

ーー「一人一人の才能を開かせる」と言っても、人材育成のステップも道筋も会社によって違いますよね。

 

村上:会社によっても、人によっても違います。その人の状況がそれぞれ違うわけですから。一人一人と向き合っていくことは、まさにマネジメント業務そのものなんです。いかに人を活かしていくかを考えながら業務に向き合っていきたいと思っていますし、その考えを日本に浸透させていきたいと思っています。私の論文が、そういう意味で日本全体の活力を上げる一助になれば幸いです。

 

毎日の生活で、課題と検証を繰り返す

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ーー毎日さまざまな業務を行っていらっしゃると思いますが、論文を書く時のような「業務の振り返り」は、日常的に行っているのですか?

 

村上:そうですね。帰る時などに「今日の気づき、教訓は何か」と考えますね。

 

ーー毎日意識していると、何かしらの気づきはあるものでしょうか。

 

村上:あります。逆に、気づく力がなくなることが一番怖いですね。
例えば私はブログを書いてはいませんが、書いている人は、ただ食事に行くだけでも「この従業員さんの対応が素晴らしかった。自分がクライアントに対する時に参考にしよう」とブログのネタになるような発見をするでしょう。一方でブログを書いてない人は、同じ店に行っても「この店は対応が良くて気分がいい」と感じるだけだったりします。それは、アンテナの違いにほかなりません。今日一日で何かを見つけようとしながら生活すると、「この気づきをメモしておこう」と考えるようになる。
今回の論文の中にもそういう部分を書いているんです。

 

ーーそれはどういうことですか。

 

村上:経験の前には課題を立て、それを検証します。検証は、経験そのものです。例えば、私は論文の表彰式に出ましたが、その前に今日の表彰式でどういうことを学ぼうか、と事前に考えておきます。それで表彰式に臨むわけです。それが学べたか学べなかったかが検証です。
こういった「課題と検証」を繰り返すことによってナレッジが溜まり、これを組織で行えば組織のナレッジが溜まっていきます。それらを活用することによって組織の力が強くなります。

 

ーー自分を振り返ること、業務を振り返ることを毎日続けていれば、論文を書くのはそれをまとめるだけですし、自分や組織の成長にもつながりますね。

 

村上:そうですね。やはり人間は何かしらの課題を持ってこの世に生を受けるものだと思っているので。人間は一生学びを続けていく存在だと思っています。

 

ーーでは最後に、これから論文を書こうという人に向けて、何かメッセージをお願いします。

 

村上:繰り返しになりますが、やはり論文を書くことは自分自身を振り返る非常にいい機会になります。自分がどのような意識で仕事に向き合っているかを再認識するという意味でも、意図的にそういう時間を設けることが有効なのではないでしょうか。
それが評価されれば嬉しいですし、評価が目的でなくても書くこと自体に意味が大いにあると思います。

 

——ありがとうございました。今後の村上さんのご活躍を期待しています。

 

村上:こちらこそ、ありがとうございました。

 

<了> 

2016年5月31日 アルカディア市ヶ谷 平成27年度優秀論文発表会後

(取材・構成:全日本能率連盟 編集部)

 

 

プロフィール

村上剛 氏

大手事業会社で人事・総務・経理、経営企画、法人営業、業務改善コンサルタント職を経て、株式会社日本能率コンサルティングに入社。企業の人事制度や人材育成の仕組み構築、組織活性化等のコンサルティング業務に携わる。論文「経営・事業戦略を実現する人材を増やす人材資産マネジメント」にて、第67回(平成27年度)全国能率大会 経済産業大臣賞受賞。

www.jmac.co.jp

 

 

 

【インタビュー】論文を書く意義とは/経済産業大臣賞を受賞して(前編)

インタビュー

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 全日本能率連盟では「経営の科学化」推進に向け、“産業復興”、“経営革新”、“人材開発”に関する論文を広く募集し、優れた論文にはマネジメント界で唯一の「経済産業大臣賞」を授与しています。

今回は、去る平成28年5月31日に行われた優秀論文発表会にて第67回(平成27年)全国能率大会論文の経済産業大臣賞を授与された村上剛氏(株式会社日本能率コンサルティング)に、受賞のお気持ちを交えてお話を伺いました。

応募を検討されている方は、論文作成のヒントとして是非参考にしてみてください。

 

どうやって人事が経営に貢献していくのか

——全能連募集論文の最優秀賞である経済産業大臣賞の受賞、おめでとうございます。今のお気持ちはいかがでしょうか。

 

村上氏(以下、村上):ありがとうございます。とても光栄です。最近、自分がコンサルティングを行う中で、人事や人材開発、組織開発分野は特に経営とのつながりが求められていると感じます。その中で、ではどうやって人事が経営に貢献していくのかということ…それは普段自分が行っていることなのですが、自分の考え・活動をそのまま書きました。それが外部から評価されたということなので、素直に嬉しいですね。

 

――受賞すると思っていましたか?

 

村上: いえ、全然思っていませんでした。弊社からは複数応募して、他賞も受賞しましたので、会社としては喜ばしいことだと思います。

 

——今までの業務内容をそのまま論文に書いたとのことですが、受賞のポイントはどこだと思いますか?

 

村上:具体的に書くことを意識しましたので、そこが評価されたのかもしれません。

 

――村上さんの論文タイトルは「経営・事業戦略を実現する人材を増やす人材資産マネジメント」。このテーマはどうやって選ばれたのですか?

 

村上:全能連さんの論文募集要項に「経営革新に関する内容で、実践的論文(実践につながる実証論文、理論研究論文、提案も含む実践的な論文など)」とありますが、それを考えた時に、自分の抱えているさまざまな仕事の中ではこのテーマが一番ふさわしいと思いましたので。
先ほども申し上げた通り、日々行っている業務のことを論文に落とし込んだわけですが、文字にして論理立てて考えるというのは、自分自身が今までやってきたことを改めて振り返る非常にいい機会となりました。おかげさまで賞をいただけたことはありがたいです。

 

ーー普段も、プレゼンなどのために資料化したり記録したりはされているのでは?

 

村上:もちろんです。しかし、パワーポイント資料は図版が入りますし、プレゼンは話しながら説明していくことが多いものです。自分の活動や考えをまとめ、論理性を意識しつつ構成し、すべて文章にする機会というのは、あまりありません。自分の考えを字でまとめるのは、意義深いことだと思います。

 

タイムマネジメントができなければこの仕事は務まらない

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ーー普段の業務も行いつつ、論文を書き上げられたわけですが、時間の使い方などで苦労した点はありますか?

 

村上:小説のように「すべて0から書き上げる」というわけでもありませんし、資料化は仕事のうちなのでそこまで苦労はありませんでした。時間のやりくりもそんなには……苦労した記憶はないですね。そもそも、タイムマネジメントができなければこの仕事は務まらないので(笑)。投入工数を算出し、最終的な締め切りまでに何をいつするかの計画を立てて……と、通常業務と同じ感覚で行っていきました。
書くにあたっては帰宅する前に図書館に寄ったりもしました。図書館で仕事をすることは嫌いではないので。

 

ーーいわゆるノマドワーカーですね。働き方改革なども中央省庁で推し進められていますが、そのテーマもお持ちなんですか?

 

村上:論文には書いていませんが、会社ではテーマを掲げて取り組んでいます。もともと”能率コンサルティング”ですから。生産性をどう上げていくかというところで、「時間価値」はより強化していく分野です。例えば通勤時間をどう過ごすか。どうやって価値を生み出していくかということです。

 

ーー環境を変えて業務をしたり、この場合は論文を書いたりすることで、より生産性を生み出すことはあるでしょうか。

 

村上:あると思います。環境が変わると気分も変わりますし。また、帰宅時間に電車の中で少し寝て頭をスッキリさせてから論文に向かうなどすれば、効率も上がります。限られた時間をどう生かすかを考えることが重要だと思います。

 

後編「今後の人材マネジメント業界の展開」へ続く。>>後編はこちら

 

(取材・構成:全日本能率連盟 編集部)

 

 

プロフィール

村上剛 氏

大手事業会社で人事・総務・経理、経営企画、法人営業、業務改善コンサルタント職を経て、株式会社日本能率コンサルティングに入社。企業の人事制度や人材育成の仕組み構築、組織活性化等のコンサルティング業務に携わる。論文「経営・事業戦略を実現する人材を増やす人材資産マネジメント」にて、第67回(平成27年度)全国能率大会経済産業大臣賞受賞。

www.jmac.co.jp

 

 

【インタビュー】梅島みよ氏が語る「人材マネジメントの未来」<後編>

インタビュー

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日本の人材育成・人材戦略のプロフェッショナルの草分けとして、述べ100万人以上の育成を支援してきたMSC株式会社マネジメントサービスセンター)顧問・梅島みよ氏のインタビュー後編です。

前編「米軍キャンプ時代の上司が自分のロールモデル」は>>こちら

(取材・構成:全日本能率連盟 編集部)

今後、求められるコンサルタントとは

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——ビジネスコンサルタントの役割ですが、「なにはなくとも生産性向上」が命題だった時代から比べると、社員の育成に注力している会社も多くなってきたように思います。

 

梅島:そうかもしれません。コンサルタント技術にも時代の変化がありますね。ビジネス教育として私が初めて担当したのは、米軍で従事したMTP(マネジメント・トレーニング・プログラム)でした。当時は立川基地にいた米空軍の将校たちが、日本のマネージャーに民主的なマネジメントを教えるにはどうしたらいいかを研究し、さらに日本の名だたる企業の社長や大学の社会学部の先生などと一緒に作り上げたのがMTPプログラムです。

 

——名前は「MTP」と英語で呼んでいますが、実は日本国内でしか流通していないのですね。

 

梅島:そうです。その後、様々なトレーニングプログラムが米国から導入されました。当時は講義中心の進め方でした。ところが、昭和40年代半ば頃から、アメリカでは心理学がベースになった、プログラムも開発され、グループディスカッションやロールプレイングなどが入ってきました。

 

——そうなると、今度はいかに受講生に喋ってもらうか、というテクニックが必要になりますね。

 

梅島:まさに、いかに喋らせるか、いかに聞き出すかという。質問と相手の答えを広げていくテクニックが必要です。例えば、英語を日本語に翻訳して活用する際には、言葉の意味だけではなく文脈、状況、そして2つの国の文化と成り立ちを理解しなければ、良い翻訳にはなりません。
コンサルタントも同じこと。相手の会社や個人を理解しようと努めなければならないように思います。グローバル化が進む現在、今まで以上にさまざまな文化を持つ社員が増えていくことでしょう。MSCの社員も含めて、今後の人材育成の課題は大きいです。

 

——まだまだ、「流暢にプレゼンする」ということに重きを置いているコンサルタントも多いですね。全能連には、「マネジメント・インストラクター」という資格の認定制度があります。

www.zen-noh-ren.or.jp

インストラクターがいい仕事をするためには、たえず自分でトレーニングをしていいものを提供していくという心構えが必要になります。認定制度がそのきっかけになってくれればいいと思っています。

 

梅島:私は昔、全能連から、なにか(資格を)いただいたような記憶があります。

 

——名誉MCになっていただいています(笑)。

 

梅島:ですよね(笑)。

 

——今、新人研修は社内で行う、という企業も多くなっています。一方で、アセスメントのような多様なノウハウが必要なものに関しては、MSCさんをはじめとするコンサルタントカンパニーに入ってもらう、などの使い分けをしていただけるといいですよね。

 

梅島:社内研修は、今後も増えていくでしょうね。私は、弊社も含めて教育訓練や人事育成を扱う分野の会社が今はひとつの変革の段階にあると思います。
以前は、長い間人事部が会社の人員の大部分の動向を掴んでいたように思いますが、採用は各部門でそれぞれ行うようになりました。そのため、かえって総務部が全体を把握しなければならなくなりました。では総務がどうあるべきなのか、それも明確にしなければいけないようです。総務はいちばん最初に外部から電話がくるところ、と考えれば、総務に優秀な人材を採用し、会社全体を掌握しなければ困ることになります。
企業は売り上げと業績アップを目指して営業は駆け回っています。今、MSCのような会社でも、そういう点に着目していかなればいけないと思います。

 

——これからの人材育成がどうなっていくのかを考えるにあたり、先生の講演を聞きたい、と考えている若い方もたくさんいると思いますが。

 

梅島:92歳のおばあさんの話しかできないですけどね(笑)。いちばん難しいのは、いま現場に出ているMSCの講師は40〜50代でしょう。そして研修の相手は20〜30代。今の時代、20年の違いは相当なものです。自分の世代と相手の世代、両方を理解しないことには相手を読むことはできません。相手を知らずしてどうしてアセスメントできるでしょうか。

 

——先ほどの翻訳の話と同じですね。相手の文化や成り立ちを理解すること。それは、昨今のグローバル化ダイバーシティ構想にもつながっていきますね。

 

自分が何者なのかを、しっかり見定めなければいけない

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——最後に、これからの業界を担う若きコンサルタントに向けて、なにかメッセージをいただけますか?

 

梅島:私にできることといえば、細かいテクニックは今までの長くて古いキャリアの分はあります。講演でも講義でも相手が20人の時の話し方、100人の時の話し方、1000人以上の時の話し方。それぞれに異なる、伝わり方が違います。
しかし、それよりも大事なのは「人にものを伝える」仕事は、まず最初に「自分が何者なのかをしっかり見定めなければいけない」ということでしょう。そういっても、自分の短所だけを見なくてもいいんです。自分の長所を理解して、思いきり自分を認めてあげること。それを世間がなんと言おうが、自分の長所を自分で否定しないこと。
たとえば「資料作りが上手い」人に対して、「あいつは資料だけだ」なんていう人もいるでしょう。しかし、それが長所なら自分で否定することはありません。あなたが持つ長所を、健全に伸ばしていけばいいんです。それが、自分の足で立つ力になります。
私が3歳の子どもがいるのに働きに出た時、近所の人からは「ご主人は働いてるのになぜ働かなくちゃいけないの?」「子どもが小さいのにかわいそう」といろいろ言われましたが、母は「近所の人の言う通りにしたところで、その人は褒めてくれない。人の言う事を気にすることはない。自分のやりたいことをやりなさい。それが正しいことならば」と言って背中を押してくれました。そのおかげで、私は生涯続けられる仕事に出会いました。
神様が作ってくれた「自分」という人間を活かし、素直に生きていけば、道は必ず開けるものと思います。

 

<了> 

(2016年6月3日、株式会社マネジメントサービスセンターにて) 

 

プロフィール

梅島みよ 氏

1944年津田英学塾卒業。在日米軍人事部(訓練部)での管理者訓練トレーナーなどを経て、1966年マネジメントサービスセンター設立。同社代表取締役社長、取締役会長などを経て、現職。日本における経営コンサルタントのパイオニアとして知られる。

www.msc-net.co.jp

著書に『頭がいい人をおやめなさい』(日本経済新聞出版社)、『日本の課長の能力』(日本経済新聞出版社)『課長の品格』(幻冬舎メディアコンサルティング)、ほか多数。

 

日本の課長の能力 (日経プレミアシリーズ)

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課長の品格―信頼と尊敬を得るための31の方法

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頭がいい人をおやめなさい

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【インタビュー】梅島みよ氏が語る「人材マネジメントの未来」<前編>

インタビュー

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 日本における唯一のマネジメント関係団体の組織機構として創立された全日本能率連盟。1949年の創立以来、マネジメントの分野で日本経済の発展に寄与するための活動を展開してきました。
この度、コンサルタント業界の先達たちの足跡を残し、広く伝えていくためのインタビューを始めます。

第1回は、全能連にとって以前より関係の深いMSC株式会社マネジメントサービスセンター)の創立メンバーのお1人である梅島みよ氏。日本の人材育成・人材戦略のプロフェッショナルの草分けとして、述べ100万人以上の育成を支援してきたMSCの顧問です。御年92歳になられる梅島氏が感じる現在の人材育成事情、そしてこれからの人材育成のあり方について語っていただきました。

(取材・構成:全日本能率連盟 編集部)

米軍キャンプ時代の上司が自分のロールモデル

——MSC株式会社マネジメントサービスセンター)は今年50周年になりますが、梅島先生が個人としてビジネスに関わってからですと、どのくらいになるのでしょうか?

 

梅島氏(以下、梅島):学徒出陣の頃から考えると、70年以上になりますね。戦中は、女生徒も飛行機工場でナットのバリ取りやエンジンのオイルキャップの面出しなどを行っていたんですよ。
学校を卒業して最初に勤めに出たのは、実家の隣の市にある海軍技術研究所です。そこでは先生方の秘書をしていました。やがて終戦になり、することがなくて結婚してしまったのですけど(笑)。 

 

——ご主人には言えませんね(笑)。その後、出産を経て、人材育成キャリアのスタートとなる米軍キャンプに勤められたのですね。

 

梅島:はい。最初は広報部です。日本の各社新聞を読み、米軍をどのように取り上げているかを調べ、反日親日に分け、翻訳する仕事をしていました。私の通っていた女学校は静岡英和女学校というミッションスクールだったので、先生の半分はカナダの宣教師でした。その後、津田英学塾に進み、英語を含めた異文化に少しは触れていましたし、子どもが少し手を離れたものの下の子は3歳でしたから、保育園の近くにあった米軍のキャンプは勤めるのに都合が良かったんです。

 

——著書の中で、米軍キャンプ時代の上司が自分のロールモデルだと書かれていましたね。 

課長の品格―信頼と尊敬を得るための31の方法

課長の品格―信頼と尊敬を得るための31の方法

 

 

梅島:そうです。米陸軍司令部広報部の課長、ヘレン・フジタさんという女性です。この上司は、すごく褒め方の上手な方でした。私が100本目の翻訳をした時には、最初の翻訳と並べ「最初はこんなに添削したけれど、今はほとんど私が手をいれるところはなくなっている」と比べて見せてくれました。

 

——今でいう「見える化」ですね。

 

梅島:ですね。この上司は、私が入った時に「1年目は、他の皆と同じくらい仕事ができるようになりなさい。2年目はそれを改善しなさい。3年目は次の段階へチャレンジしなさい。3年同じ仕事を同じようにしかできないのは怠け者です」と言われました。

まさにその2年目の終わり、3年目に入ろうというときに、人事部のMTP(マネジメント・トレーニング・プログラム)のトレーニングコンサルタント候補に私が挙がげられたのです。
それは面白そうだ、チャレンジしてみたい、とボスに相談したところ、大変立派な推薦状を書いて快く送り出してくれました。このボスでなければ、私はずっと翻訳をやっていたかもしれません。

 

社員1人1人の長所を早く見つけるーー早期アセスメントが重要

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——そこから、人材コンサルタントとしてのキャリアを歩まれるわけですね。

 

梅島:はい。そういった自分自身の経験もあるため……というわけでもありませんが、弊社は、社員1人1人の長所を早く見つけるーー早期アセスメント(※情報を収集・分析し、解決すべき課題を把握すること。評価・査定などの意味でも使われる)が重要だと考えています。クライアント企業様にも、社員の長所を考えながら配置を決めていくほうが、人材が大きく成長できると伝え続けています。
例えば、宇宙飛行士の選抜メンバーに入れていただいた時などは、自分の経験のない環境の中で、どんな能力や行動が必要なのかを考えるためNASAから資料を送ってもらったり、潜水艦ポラリスのことを調べたりして苦労をしました。

 

——そうやって長所を考え、アセスメントしていったのですね。

 

梅島:必要な能力を持っていさえすれば、他の能力は飛び抜けて高くなくてもいい。私なんて、行動力はあっても忘れ物の名人ですよ(笑)。重要書類を「あっ! ない!!」という場面なんてしょっちゅう。すると秘書がニヤっと笑いながらスーーっとコピーを出してきます(笑)。
私の短所は周りの人がすぐわかって、助けてくれています。あの人をこの人にサポートさせて、という組み合わせで何とか物事がまがりなりにも進んでいきます。そういうことを見定めて人の配置を考えることが必要となります。

 

——従業員の評価は、短所を見るのではない、と。

 

梅島:もちろんです。短所なんて考えなくていいとすら思います。新人だけではなく、誰でも自分のキャリアは自分で作りあげるものですし、キャリア・ビルディングは何歳になってからでも始められます。
自分自身の長所を知り、それを伸ばしていくような教育プログラムを作り続けることをしていきたいと思っています。これからますます個人の責任の時代になるでしょうから、各社の人事の方は、このことに取り組んでいただきたいと思っていますが。

 

後編「今後、求められるコンサルタントとは」へ続く。>>後編はこちら

 

プロフィール

梅島みよ 氏

1944年津田英学塾卒業。在日米軍人事部(訓練部)での管理者訓練トレーナーなどを経て、1966年マネジメントサービスセンター設立。同社代表取締役社長、取締役会長などを経て、現職。日本における経営コンサルタントのパイオニアとして知られる。

www.msc-net.co.jp

著書に『頭がいい人をおやめなさい』(日本経済新聞出版社)、『日本の課長の能力』(日本経済新聞出版社)『課長の品格』(幻冬舎メディアコンサルティング)、ほか多数。

頭がいい人をおやめなさい

頭がいい人をおやめなさい

 

 

人を見る目を持つ

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日本の課長の能力 (日経プレミアシリーズ)

日本の課長の能力 (日経プレミアシリーズ)

 

 

ビジネスマナー入門 (日経文庫)

ビジネスマナー入門 (日経文庫)

 

  

 

 

 

 

 

平成28年度 全能連 「会員交流会」を開催

ニュース

 平成27年度の受賞論文の表彰式と講演会を開催いたしました。

 

日  時: 平成28年5月31日(火) 15:00~16:30

会  場: アルカディア市ヶ谷 6F 阿蘇 

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各賞の受賞結果は以下のとおりです

 

経済産業大臣賞(1編)

 「経営・事業戦略を実現する人材」を増やす人材資産マネジメント

   株式会社日本能率協会コンサルティング           村上  剛 様

www.jmac.co.jp

 

経済産業省経済産業政策局長賞(1編)

 グローバル競争下における海外現地法人の収益改革

   株式会社日本能率協会コンサルティング     北村 大輔 様

 

○全日本能率連盟賞(5編)

 「フレーム&ワークモジュールR」を活用した本当の意味の“働き方改革”

   株式会社ベーシック      田原 祐子 様

www.basic7.com

 

 

 業務改革コンサルティング技術体系

   日本ビジネスブレーン株式会社  佐々木 伸 様

 

 企業価値向上を牽引する「SCMキャッシュフロー方程式」の活用事例研究

   日本ユニシス株式会社   上岡  恵子様

   ファイルース・コンサルティング          青柳六郎太様

 

 効果的な日本型リーダーシップスタイルの特徴とその開発ステップ

   株式会社ヘイコンサルティンググループ           田中 大貴 様

 

 事業特性に応じたSCM改革の進め方と経営成果獲得に向けた考え方

   株式会社日本能率協会コンサルティング           武田 啓史 様

 

講演
「雇用・人材政策をめぐる最近の動向について」

  経済産業省 大臣官房参事官(経済産業政策局担当)

            兼 産業人材政策室長   伊藤 禎則 様

 

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 日本の将来を睨んだ有意義なお話で、大好評でした。

 

www.zen-noh-ren.or.jp

 

 

研究交流会 田中秀春氏講演「顧客が求めるコンサル技術とは」

講演会 ニュース

平成28年1月19日、新年初の全日本能率連盟研究交流会を開催。

グループディスカッションに先立ち、豊富なご経験を持つ経営コンサルタント・田中秀春氏による「顧客が求めるコンサル技術とは」と題した講演が行われました。

 

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コンサルタントに必要な技術、ならびに顧客との関係性」をテーマに、経験の浅いコンサルタントはもちろん、現在活躍中の方においても有用な思考法をお話いただきました。

講演「顧客が求めるコンサル技術とは」

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トピックは下記の3点。

1 顧客のコンサルタントへの「能力の値踏み」と「緊密度の濃淡」

2 コンサルタントに必要な3本の矢

3 コンサルタントの心的風土が与えるコンサル技術

 

「顧客がコンサルタントに期待することは、”企業問題の解決と、これが生み出す成果・効果”、”早期に問題解決の成果・効果が見えること”の2点」と話す田中氏は、大学教授として学生たちに教えるかのように、平易な言葉かつユニークな語り口で、参加者を話に引き込んでいました。

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講演終盤で語られた言葉は

「空腹の子供に魚を一匹与えるか、
魚の釣り方を教えるか、
魚のいそうなところを見つける知恵を授けるか」

この言葉は、老子の「授人以魚 不如授人以漁」が元となると言われています。

田中氏は、「魚」を「知識」と置き換え、「顧客に、本当の満足を提供しているか」を改めて意識するための金言として、コンサルタントがいつも心に留めて置くべきもの、とお話されました。

田中氏のお人柄もあり、終始和やかに進んだ講演会。終了後は質疑応答により活発な意見交換がなされ、その後のグループディスカッションに続きました。

 

尚、この講演の際に使用されたPowerPoint資料は、田中氏のご厚意により、後日希望者にメール配信されました。

参加できなかった会員の方でご希望の方がいらっしゃいましたら領布いたします。全能連事務局までご連絡ください。

お問い合わせフォーム | 公益社団法人 全日本能率連盟

 

 

田中秀春
1967年航空大学(現・独立行政法人)卒業。日本航空㈱入社、乗員機関士、乗員訓練所および航空大学校学科教官。その後シャープ・ターミナル・システムズ㈱設立に参画、製品開発本部事業企画・開発主任技師を経て、産業能率大学及び大学院教授として問題解決力養成講座、生産管理、プロジェクト・マネジメン ト、問題分析力養成講座、MOT‐テクノロジー・マーケティング等の講義を担当。
コンサルタントとしては、主に大手メーカー(製紙、電機、複写機、半導体、部品、自動車など)の新製品開発プロジェクト指導、テクノロジー・マーケティングの若手への基本・重要教育、部門長への企業組織形態再編や人事評価の指導など多岐に渡る。
主な著作:共著-「価値経営」日刊工業新聞社、「新・VEの基本」「テクノロジー・マーケティング」 「バリューイノベーション」(いずれも産業能率大学出版部)。

 

テクノロジー・マーケティング―技術が市場を創出する

テクノロジー・マーケティング―技術が市場を創出する

 
新・VEの基本―価値分析の考え方と実践プロセス

新・VEの基本―価値分析の考え方と実践プロセス

 

 

新年情報交流会 手塚和宏氏講演と賀詞交換会

ニュース 講演会

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局 手塚和宏氏講演

平成28年1月9日、一般社団法人日本能率協会にて、新年情報交流会が開催されました。
講演では、内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局/手塚和宏氏に地方創生についてお話いただき、今後のコミュニティ、および社会のあり方をどう考えていくかを紐解く場となりました。

 

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講演のテーマは「地方創生について」。政府の「骨太の方針2014」が示した「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」との目標達成に向け、「地方創生」は今、注目のテーマになっています。

 

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講演「地方創生について ー国と地方における人口の現状と将来見通し、総合戦略の策定・推進ー」

◯背景ー人口減少・出生率の低下等

◯国と地方の長期(人口)ビジョンと総合戦略

◯具体的施策等

1時間という短い間ながらも、上記の3つの視点からそれぞれに体系的に整理されたきめ細かいデータが開示され、緻密な解説がなされました。

 

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人口減少・出生率の低下

はじめに、世界的に進む人口減少について、日本全体から東京圏・首都圏の人口データ、人口移動の状況などが示され、現状の問題定義がなされました。

将来的には、2050年には人口が半分以下になる地点が6割を超え、うち2割では無住居化する、三大都市圏の高齢化が急速に進む、などの予想が語られ、各都市の人口増減率やサービス施設の立地状況などのデータが示されました。

国と地方の長期(人口ビジョンと総合戦略) 

続いて、「まち・ひと・しごと創生法」の概要とともに、諸外国の出生率の動向や地域ごとの未婚者の結婚意思・夫婦の理想子供数など、比較的若い世代の希望出生率について紐解いて行きました。

経済戦略において、労働人口・生産人口の見通しは欠かせないものとして、現状の把握から長期的な展望までが述べられました。

具体的施策等

地方への支援策「3本の柱」を紹介。「情報支援」「財政支援」「人的支援」の3つをベースに、地域に立脚した多彩なプログラムを実施していくとのこと。地方の問題は地域によって多様な課題があり、その土地ごとに具体的な施策を行うことが重要であることを、豊富な資料とともに説明されました。

また、地域経済分析システム RESAS

resas.go.jp

 が紹介されました。

RESASは地方創生関連の公開データベースで、関連法案や閣議決定の一覧や、全国の移住関連情報などがまとめられています。興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

講演後の質疑応答では、予定の時間を越えるほどの深い質問が寄せられました。会員の皆さんの関心の深さが伺えます。

 

講演後、賀詞交換会開催

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 新年最初の交流会でもあったことで、講演後は会場を地下レストランホールへ移して賀詞交換会を開催。全日本能率連盟中村会長の挨拶後、和やかに始まりました。

新しい年の幕開けに際し、あらゆる分野で活躍する会員同士の新たな出会いと交流の場となり、盛会のうちに幕を閉じました。

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